日経記事掲載報告と海外駐在妻の現状について - 駐在帯同でなく、同行 -
私は海外駐在員に関する調査リリースを書き、2024年4月に発出した、いち駐在同行家族です。
このたびは願っても叶うものではない、最上級に貴重な掲載機会に恵まれました。形になるまでに、多方面の皆さまにご協力いただいたことに感謝の意を表したく、誰にでもご覧いただけるnoteの場で報告させていただきます。
▽ 本文末に続く、調査データ部分に引用いただきました。(2024年8月11日)
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駐在員配偶者は、現在半数が退職して海外に同行。休職制度利用中の配偶者、11.5%。別居を決め日本に残って仕事を継続する配偶者、12.5%強。それぞれ退職者割合の1/4規模です。
日本での環境や他国からのスライドにより以前から専業主婦・主夫を継続している配偶者が14.4%に留まるので、駐在員配偶者の状況もかつての "暮らしに余裕のある奥さま" イメージからは多様化し、久しくなりました。
海外移住経験もキャリアも大事にしたい、いち駐在員配偶者の一人としては、「休職制度利用(または再雇用保証)で海外同行」「日本の仕事を海外同行先で継続(リモート含む)」「現地採用就職」を選択肢に入れることができる、駐在員配偶者の割合が増加することを望みたいものです。
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アンケートの自由回答で印象的だったのは、海外駐在への家族同行に関して、駐在員の方々から「海外生活の経験は家族の将来に役立つから、再度海外赴任辞令が出たらまた承諾したい」「海外生活を経て家族のつながりがより強くなった」と記述いただいた数が目立ったことです。
私自身も、心からそう思います。
海外同行を迷っている方がいたら私は背中を優しく押したい思いの一方で、課題感が拭えないのが本帰国後、駐在員配偶者の再就職ハードルが高いことです。
今や駐在する企業の規模は多岐に渡り、円安や物価高など経済状況も変化。本帰国後は、駐在前のように共働きで家庭を支え合いたい。
しかし、いわゆる「ブランクあり」と捉えられがちな駐在員配偶者は、再就職結果が理想とかけ離れるケースが主で、好事例を探しても限定的、厳しさが募る現状です。ボランティア活動で活躍した人でも再就職の場では語り切りにくい。
駐在員配偶者が元のキャリアに戻りやすい環境なのか、海外でもキャリアを続けやすい環境なのか。
海外の慣れないビジネス文化や言語環境で戦い、経験とキャリアを確実に積み上げていく駐在員夫・妻を気持ち良く応援しながら、駐在員配偶者も本帰国後の自分像が描ける事例や環境が増えたら理想に思います。
ほか調査項目や詳細は、上段プレスリリースをご参考いただけると幸いです。
プレスリリースに関する部分は以上です。
ここからは、プレスリリースとは性質が異なるnoteという場所で
私の話と身の回りの肌感を、言語化しておきたいと思います。
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恵まれたことに、私が日本で所属している会社には、最長3年間の「海外同行休職制度」が設置されています。過去、同じ境遇で志半ばに退職されていった先輩方と、その見直しに働きかけてくれた先輩方や人事の方々の存在あって、近年設けられました。温かくて理解のある、所属部署のメンバーに送り出してもらえたからこそ、そして戻りたい場所であるからこそ、手ぶらで復帰したくない気持ちがこの3年間のマインドも行動も、私を支え続けています。
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私は夫の駐在で中国・上海に同行して2年。日本での仕事はいわゆる総合職採用で、営業時代を経て広報職に。仕事好きだねと良く言われるタイプで、かつ産休育休で復帰した時の浦島太郎感覚がショックで忘れられないので、海外生活経験を積みながらも何かしていたい。そんな気持ちも形からと、新品のMacを抱えて渡航しました。
上海で生活情報アカウントを立ち上げフォロワーを増やして在上海日本人向けメディアの方と複数協同したり、駐在家族が世界各地からボランティアでオンライン運営するコミュニティに参加したり。それと、社会人大学生に憧れていたので留学生と同じクラスで週5、中国語を学びに大学に通っています。
上海は人の繋がりも選択肢も多く、私に至っては、子どもを園に送り出した1秒後から、好きなことに挑戦させてもらっていて、恵まれた環境に何度感謝しても足りません。
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と言うのも、駐在妻(夫)も、滞在国によって行動可能範囲は異なります。治安という面では、上海は厳重な監視社会から、よほどの場所でなければ行動エリアを選ばず、興味関心のある場所に女性一人でも赴ける環境です。一方で経済活動となると制限が他国に比べても厳しく、現地での経済活動には当然就労ビザが必要なだけでなく、日本の仕事を業務委託としてリモート勤務することも、これは駐在家族が多い他国では可能な事例をよく耳にしますが、中国ではNGとされています。
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とはいえ、日本人居住者が世界で4番目に多い都市、上海。
最近、上海の駐在妻界隈では、情報提供やコミュニティ活動を目的とした非営利団体が次々と立ち上がっています。それぞれの志を形にしようと立ち上げ人としてリーダーシップを発揮する方々もいれば、立ち上がったコミュニティの運営スタッフに参加して何か役に立とうとフォローに回ってくれる方々もいます。後者の方がずっと割合は多いように思います。
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そうして、プロボノ(専門スキルを生かしたボランティア)に精を出して、その土地の日本人駐在家族コミュニティではたとえ一定の知名度を確立したとしても、次に押し寄せるのは、投資した時間や労力、その成果を、金額換算できないもどかしさだったりもします。
言い換えると、何か自分のアクションが広く役に立っている感覚があったとしても、一定の月日が経過しそれに慣れて、ある日ふと冷静になってしまえば、「結局タダだから/利益を取らないから、ありがたがってもらえただけ」という感覚にも簡単に陥ってしまうので、糸が切れないよう熱中したままの方が幸せだったりします。
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また、長年所属してきた組織と離れた時間がきっかけとなり、日本帰国後にフリーランスや起業によって独立することを視野に、勉強したりトライアルイベントを開催したりする友人も、身近に増えています。自ずと近い考え方の人同士がつながっていくのも、上海のコミュニティ規模ならではに感じます。
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一方で、決して駐在妻たち全員が似たようなマインドではありません。日本と違って色々な所属・地域から来た方々と出会う機会があるからこそ、自論だけで思い込むべきでないと自覚した部分も大いにあります。
ママ友付き合いが上手で心から楽しみ続けられる人、子育てや家事に専念できる高い能力がある人、誰もが驚くような趣味やスキルがあって没頭できる人、空白の時間そのものを楽しめる人。それぞれの過ごし方、力の入れ方があります。
いずれにせよ最終的に、「自分で海外同行する道を決意した」「自分が何をしたいか分かっている」感覚を持っている人には、会話で選ぶ言葉に充実感が伴っていて、話していて面白いです。
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どんな過ごし方をしていても根底にあること。
駐在員配偶者の立場は(現地採用や日本の仕事を請け負っている方は他として)、家も生活費も、この海外で生活できるという時間も、全て駐在員である夫あるいは妻とその会社のおかげで成り立っています。
日本では経済的に自立していた駐在員配偶者こそ、痛いほど理解していて、この日本との立場の違いに戸惑いと悩みを一度は感じていることは、言葉や態度で表現することが得意でない方でもきっと共通しています。少なからず、私の身の回りではそうです。
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自分の今の微力さを忘れたいから、背筋を伸ばして胸を張って毎日が送れるように、何かしら行動したり没頭したり予定を入れたり、していたい。
駐在帯同でなく、駐在同行。
迷いなく言える毎日でありたいです。
あなたは、あなただったら、どんな駐在同行生活を送りますか?
おわりに
ここまで通してお読みいただいた皆さま、ありがとうございます。
Instagramと異なり訪問者数が分からないので、どれほどの方が関心あるテーマとして通して読んでくださるものなのか、読み進める中で違和感/退屈感によって離脱されたのか、掴めずにつらつらと記述しております。
そこで、誰が「いいね」を押してくださったのか特段追ったりしませんので、通して読めたことをいいねタップなどで教えていただけると今後の学びになります。
私もそうしていきたいと思います。
報道関係の皆さま
冒頭のプレスリリースならびに本記事に関してお問い合わせは、プレスリリース(PR TIMES)記載の連絡先まで、お手数ですがお願いいたします。
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