4.アメタ物語 〜序章・モリモト編〜
モリモト家のある路地はまだ全部の家に住民が収まっていたわけではなく、まだ入居者募集の看板が数戸の門の前に出ていた。
「ソガベさん家のお隣に新しい家族が引っ越してくるらしいわよ」と母親が言ったのを聞いた時には「またか」と思った程度だったが、たまたま引っ越し荷物を業者と転居する家族で運び込んでいるのを見物に行った時にモリモトの身体は産まれてはじめての異常に見舞われることになる。
転居してきた家族の父親と母親がトラックから玄関へと荷物を移動する姿を心もとなげに眺めて佇んでいる 自分と同じくらいの背格好の女の子にモリモトの目は釘付けになってしまった。皮膚の色はすこし浅黒く、肩までの黒くてまっすぐな髪の毛。目つきはすこし鋭く寂しげで痩せていて全体的にシャープな印象の子だった。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?