3.アメタ物語 〜序章・モリモト編〜
幼稚園の頃のモリモトの住む地区は、平屋の賃貸住宅と建て売りの二階建てが未舗装のじゃり道をはさんで向かい合って建つ所謂「新興住宅街」と呼ばれていたが、街と言うほどではない路地だった。
住人の転出や転入やそれに伴う立て替えや増築取り壊しなどを経た現在でもその形態は基本的に変わっていないはずだ。
モリモト家は二階建てのちょうど真ん中あたりに、まだ30歳を過ぎたくらいの働き盛りだった父親が長期ローンで購入したものだ。 結局自分で家を購入しなかったモリモトにとっては、この事が父親に対する唯一のコンプレックスになっている。
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