第7回毎月短歌 テーマ詠「映画」部門 結果発表
テーマ詠「映画」部門
本醸造酒賞(3席)
待ち合わせ場所まで駆けるヘプバーンみたいにふわり水たまり、跳ぶ/くらたか湖春
結句がいい。「水たまり」の後の読点、ここに一瞬の逡巡があることを思わせる。その瞬間、主体はヘプバーンになった。どこか陶酔感を持ってしまったことも、ここには表現したかったのかもしれない。
テーマ詠「映画」部門
吟醸酒賞(2席)
薄まったオレンジジュース飲む時にエンドロールをぼうっと見てる/カオルコ
「薄まった」ということは、氷が溶けてしまったということ。それだけ目の前の映画に夢中だったのだろう。「エンドロール」すら「ぼうっと見てる」のだから。味覚から時間の密度を表現するという、とても高度な手法に惹かれた。
テーマ詠「映画」部門
大吟醸酒賞(1席)
おじさんに恋なんかしちゃだめだよと諭して背中を見送るおじさん/酒田ノム
「おじさん」のリフレインが印象的だった一首。「だめだよ」と諭しながらも、なんとも寂しさを感じてしまう。相手に対する描写は一切無いながらも、そこには諭されて元気になった相手が見えてくる。むしろ映像的ですらあり、この一首から物語が始まりそうな雰囲気がある。グレート。
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