自分の顔を見て、自分を知る
夏休み、地下鉄の駅のホームでクラスメイトの佐名田さんと会った。偶然に。
「夕方からどこに行くの?」と聞かれたから「家に帰るだけ」と答えた。
「どこに行くの?」と聞くと「私も家に帰るだけ」と答えてくれた。
お互い「どこに行ってたの?」とは聞かない。そんなことで、僕は僕らの距離感を知った。
と同時に「塾に行ってた」と言うことによって、大学受験の話題にならざるを得ないから敬遠した、とも考えた。この駅の近くにはたくさんの塾があるからきっと佐名田さんも塾帰りだとは思った。
ホームにはそ