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ポケポケは海外でどれだけ人気?国地域別ランキング!(後編)
前回の記事では、ポケポケ海外人気ランキング7位〜4位、そして番外編として中国本土市場について解説しました。
後編では3位以降のランキングに加え、海外マーケティングの具体的な戦略について深掘りしていきます。それでは3位以降を見ていきましょう。
3位: ドイツ 🇩🇪
まず第3位として挙げられるのがドイツです。正確な収益はデータの算出方法によりますが、ある推計ではドイツは全世界売上の約3.7%を占めています。ユーザー数の観点でも、ドイツは世界有数のゲーム市場であり、ダウンロード数ランキングでも上位に入っているとみられます。
- 人気の背景
ドイツはボードゲームやカードゲーム文化が非常に盛んな国として知られています。カタンから始まった世界的ボードゲーム流行の発信地もドイツです。ポケポケはそうしたアナログゲーム好きの層にも受け入れられ、ドイツ語版のローカライズもしっかり提供されたことで障壁なく浸透しました。発売当初からドイツのゲームメディアでも「ポケモンカードゲームのデジタル版登場」と報じられ、ポケモンファンサイトやフォーラムで攻略情報が共有されるなどコミュニティ主導の広がりも見られました。また、ドイツでは任天堂やポケモンのブランドイメージが良好で、親が子どもに安心して遊ばせられるゲームとして支持されている側面もあります。
2位: フランス 🇫🇷
フランスもポケポケが大ヒットしている国の一つです。データによって順位は前後しますが、フランスは全世界売上の約7%を占めるまでに成長したとの報道もあり、欧州では最大級の市場です。実際、本作リリース直後にフランスのApp Store売上ランキングで堂々1位を獲得したことは大きなニュースとなりました。ダウンロード数でも全体の8%強を占め、世界3位のインストール数を記録しています。このようにフランスはユーザー数・売上額ともにトップクラスで、ポケポケの海外展開成功を語る上で欠かせない国です。
- 人気の背景
フランスは日本のポップカルチャー、特にアニメやゲームに対する支持が強い国として知られます。ポケモンも1990年代からテレビ放送され大人気となり、ポケモンカードゲームもヨーロッパではフランス語版が早期から展開されてきました。そうした土壌の上で、ポケポケは「懐かしのポケモンカードをスマホで集められる」という点が刺さり、幅広い年代に受け入れられました。フランス語ローカライズが行き届いていることもあり、カジュアル層も含めて大規模なユーザー獲得に成功しています。また、フランスでは昨今カードゲーム系YouTuberやストリーマーが台頭しており、彼らがポケポケのパック開封配信や対戦実況を行ったことで一気に口コミが広がりました。さらに、ポケモンが縁となったユニークな取り組みとして、2023年にパリの美術館で「ポケモンカード×アート展」が開催され話題になったことも記憶に新しいです。こうした国民的コンテンツとしてのポケモン人気が、デジタルカードゲームへの抵抗感を下げ、大ヒットに繋がったと考えられます。
1位: アメリカ 🇺🇸
海外でポケポケが人気な国ランキング第1位は、アメリカ合衆国です!売上シェアは全体の約20~25%程度を占め、日本に次ぐ規模となっています。ダウンロード数に関してはアメリカが突出しており、全世界の約20%強が米国ユーザーで世界最多。つまりユーザー数では世界一、売上では世界二位というポジションです。この数字から、米国プレイヤーは日本ほど一人当たり課金額は高くないものの、母数の多さで売上貢献していることが分かります。実際、米国市場はインストール数では29%とも報じられており、その圧倒的なユーザー規模が特徴です。
- 人気の背景
アメリカでは1990年代のポケモンブーム以降、ポケモンカードゲームは子供から大人まで広く遊ばれてきました。特に近年はコレクターズアイテムとしてポケモンカードの価値が高騰し、YouTube上で有名配信者がボックス開封する動画が流行するなど、カード収集熱が再燃していました。ポケポケは「無料でパック開封できるポケモンカード」という触れ込みで、このコレクション欲求を満たせるため、老若問わず多くのポケモンファンに広まったと考えられます。また、米国のポケモン公式は英語圏向けに積極的なSNS発信やプロモーションを行っており、発売当初から各種メディアで取り上げられました。例えば、公式Instagramでは「#PokemonTCGPocket」のハッシュタグでグローバルプレイヤーに呼びかける投稿も行われました。さらに、Twitchなどライブ配信プラットフォームでトップストリーマーがプレイ配信を行い、視聴者がデジタルカード開封の興奮を共有するといったUGC(ユーザー生成コンテンツ)拡散も米国での人気拡大に貢献しています。
海外展開が成功した理由
ポケポケがここまで世界的ヒットを遂げた背景には、ポケモンというIPパワーを最大限に活かしたマーケティング戦略が存在します。
- グローバル同時展開とクロスプロモーションの巧みさ
ポケポケは最初から世界約170以上の国と地域で同時リリースされました。これにより、各国のポケモンファンが一斉に飛びつき、SNS上で話題が雪だるま式に拡散されました。国ごとに時間差リリースをすると熱量が分散しがちですが、同時展開により「世界同時体験」となったことが功を奏しました。また、他のポケモンゲームとのクロスプロモーションも見逃せません。例えば『Pokémon UNITE』ではポケポケ配信記念の特別アイテムが配布される連動イベントが行われたりポケモン公式Twitterがポケポケのハッシュタグキャンペーンを実施するといった具合に、ポケモンIP全体で新作アプリを後押しするマーケティングが展開されました。さらに、各国で話題作りのPR施策が打たれています(地域によっては有名ストリーマーへの先行プレイ提供やメディアイベント開催など)。こうしたクロスプロモーション戦略により、新規ユーザー獲得コストを抑えつつ爆発的な認知拡大に成功したのです。
-成功事例から得られる示唆
ポケポケのマーケティング上の特徴をまとめると以下のようになります。
既存IP資産のフル活用
ポケポケは新規IPを一から育てる必要がなく、ポケモンカードという確立されたブランド資産を100%活用しました。物理カードで親しんだユーザーに「デジタルでも同じ体験を」と訴求できたのは大きな強みです。これは例えば遊戯王マスターデュエルやMagic: The Gathering Arenaといった他TCGのデジタル版にも通じる成功パターンであり、伝統あるリアルゲームをデジタル化して新規収益源を生むモデルとして教科書的と言えます。ユーザーコミュニティ主導の盛り上げ
公式主導の大型キャンペーンを連発せずとも、ユーザーで盛り上がりコンテンツが投稿される状態を作り出した点も見逃せません。SNSでのカード投稿、YouTubeでのパック開封動画、非公式大会の開催など、ファンが自発的にコンテンツを生み出し宣伝してくれています。運営はそれらを公式RTしたり、ハッシュタグ企画でUGC(ユーザー生成コンテンツ)を促進することでより大きな流れを生み出しました。UGCは非常に効果的なIPマーケティング手法です。「無料+日替わりコンテンツ」で多くの人にプレイしてもらう
ポケポケが爆発的DL数を稼いだ背景には、「基本無料で毎日カードがもらえる」設計が寄与しています。コレクション要素のあるゲームでは、ログインするたび何か新しい物が手に入る体験が重要です。ポケポケでは日替わりで無料パックを提供し、たとえ課金しなくても少しずつコレクションが充実する仕組みを取りました。これにより無課金のライト層も適度にログインするので、ユーザー数の底支えとなりました。ダウンロード数世界一の米国で売上2位に留まったのも、多くのライト層ユーザーが課金せず遊んでいるためですが、それはコミュニティ維持に大きく貢献しています。ライト層にプレイしてもらいつつ、その中から一部の課金ユーザーが支えるF2P(基本無料)モデルをうまく機能させた好例でしょう。ゲームの完成度、継続的アップデート
ゲームの完成度の高さも重要です。従来のポケカのゲーム性をある程度踏襲しながらもスマホに最適化した新しいルールを作り上げました。このルールは新規ユーザーにとって遊びやすいにも関わらずコア層にとっても楽しめる絶妙なバランスとなっています。
また2024年12月のタイミングで新パック「幻のいる島」また2025年1月末のタイミングで新パック「時空の激闘」シリーズがリリースされました。このように適切なタイミングでコンテンツ不足による飽きを防ぐ工夫をしている部分も素晴らしい施策と言えるでしょう。他のソーシャルゲームでは初動に成功してもアップデートが滞りユーザー離れするケースがありますが、ポケポケは継続的にアップデートし続けています。ポケポケはポケモンカードという定期的なカードセット追加が前提のIPである強みを活かし、今後も継続的に新カードを投入していけるでしょう。
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まとめ
ポケポケの国別人気ランキングと各国の状況、そしてマーケティング上の分析を行ってきました。ランキングの結果を振り返ると、日本とアメリカという2大市場が収益・ユーザー数の両面で突出しつつ、フランスやドイツ、台湾、韓国といった国々がそれに続く構図が見えてきました。また、ブラジルやメキシコなど新興市場でもユーザーコミュニティが急拡大しており、ポケポケが真の意味でグローバルヒットIPになったことが分かります。
マーケティング面では、既存IPのブランド力とユーザーコミュニティの熱量を上手に融合させた戦略が功を奏したと言えます。ポケモンという誰もが知るコンテンツを軸に、グローバル同時展開やクロスプロモーションで一気に注目を集め、あとはファン同士の情報発信で自走的に広まっていく理想的な流れを作り出しました。他の競合ゲーム(ポケモンGO、原神、FGOなど)と比較しても、ポケポケはライト層の裾野とコア層の課金力を両立させた点でユニークなポジションを築いています。異なる層を同時に満足させる施策の成功例として重要なケーススタディとなるでしょう。
今後の市場展望としては、当然ユーザー維持が課題となります。どのようなゲームでもリリース直後の盛り上がりが一段落すると、ユーザー数が減少し始めるのは避けられません。事実ポケポケも2024年12月を境にユーザー数が減少し始めたというデータもあります。これからはいかにユーザーに継続して遊んでもらえるかが大事です。そのために、定期的な新カード追加や機能拡張(最近の例だとトレード機能や新要素「ポケモンのどうぐ」など)で常に新鮮な体験を提供し続けることが求められます。
また、地域ごとの施策展開や新興市場へのアプローチ次第では、さらなる成長も見込めます。中国市場への参入や東南アジアでのユーザー拡大など、次なるチャンスに備えて柔軟な戦略を立てることで、ポケポケは長期的なヒットタイトルとして定着するでしょう。
最後に、本記事から海外展開の成功要因を整理します。
「強力なIP×モバイルゲーム」の成功には、
1. グローバルでの一斉展開とローカライズの徹底
2. ユーザーコミュニティの熱を活かすUGCマーケティング
3. 既存ファンと新規ライト層の双方を取り込むゲーム設計
4. データに基づいた市場ごとの最適化戦略
の4点が鍵となることがわかりました。ポケポケは世界No1のキャラクター知名度による影響力も大きいのでそのまま真似できない部分もありますが、多くのIPホルダーにとって学ぶ価値のある成功モデルと言えるでしょう。
今後も刻一刻と変化する各国のトレンドを注視しながら、ユーザーに愛される施策を積み重ねていくことで、グローバルで長く支持されるコンテンツへと成長していって欲しいと思います。
X(旧Twitter)も始めました。
参考元
gameworldobserver.com
0115765.com
gamebiz.jp
wnhub.io