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中国の変質とウクライナ

中国という国を知る者として…などと大言壮語する立場にはないが、ひと言言いたい。

以下は完全に個人としての見解というかリアルに経験し感じたことである。

私は約20年前の2003年に当時所属していた会社の辞令により駐在員として中国に渡った。

正確には2001年頃から中国とのビジネスに関わり始めたのだが、当時の中国と今の中国を比較すると国としての中国も人としての中国人も完全に変質してしまった。

あの当時の中国はまだまだ発展途上であり、多くの人民の月収は日本円で月に1〜2万円程度、物価は日本の1/10程度であった。

例えば昼に弁当を買うと5元弁当とか言っていたから60〜70円で腹一杯食えた。

そんな所に行った日本人は彼らからしたらドバイの富豪…とまでは言わないが、雲の上のような存在でそれはそれは女の子にもモテた。

我々日本人はそんな彼らの安い労働力を買いに行ったことは紛れもない事実だが、同時に彼らの生活と彼の国を豊かにしてあげたいという純粋な想いも確実にあった。

当時の忘れられない思い出がある。

一足先に中国で自営業を始めていた日本人の知人は既に運転免許を取り車も持っていた。

彼の運転する車に乗っていると横から自転車に乗った中国人のおじさんが飛び出して来て車と接触した。

彼は転倒しどこかケガしたかもしれない。

慌てた我々は車を飛び出し声を掛ける。

怒りながら文句を言うおじさん。

知人は「わかった。どうすればいいか、とにかく日本領事館に電話するからちょっと待って」というとおじさんはその言葉に反応した。

「えっ?日本人か?領事館?いやいや良いよ良いよ。大丈夫、大丈夫。こっちが悪かった。ごめんなさい」

と謝り去っていくではないか?

この話を会社に戻り日本人の同僚に話すと、

「そりゃそうでしょ?彼らからしたら相手が日本人となれば警察からこっぴどく絞られるからね」

と言い放った。

潮目が変わったのはやはり2008年の北京オリンピックだろう。

その頃になると収入も物価も2倍ぐらいになっており、中国社会が自信を持ち始めているのがわかった。

それでも国としては中国がいかに世界の常識やルールを尊重しているか、国を挙げてそれらに合わせた政策を行っているか?をアピールしていたように思う。

それがわずか数年後の2012年頃になるともういけない。

眠れる巨象がいよいよ首をもたげ始めた。

明確なキッカケで思い当たるのはやはり尖閣問題から発生した大規模な反日デモだろう。

このデモは完全に官製のヤラセであり、動員されたのは低所得者層の人民たちである。

彼らはお金を貰ってデモに参加したが、官製だけに始めは統率が取れていた。

しかし、デモの規模がみるみる大きくなり、気がつけばコントロールが効かないほどの規模と日系に対する破壊活動を行うようになった。

この時始めて中国で暮らすことに対する恐怖を感じた。

2012年9月の反日暴動の様子@蘇州


そして同時に中国は力による圧力は効果的だと悟ったはずである。

その後はもうご存知の通り経済的にも世界第2位に上り詰め、それにより人民も自信を持った。

収入が上がり、人によっては日本人よりも豊かになった。

我々が住むマンションの駐車場には日本では見たことも無いような超高級外車が何台も並ぶ。

と言うよりも街にはタクシーとトラック以外は高級外車しか走っていなかった。

日本に帰省するとファミリーカーと軽自動車しか走っていない我が日本と比べてしまい苦笑いしたのを覚えている。

その頃にはもう中国はもはや欧米諸国の価値観に合わせる必要はない、ルールメイカーは自分だ!という意識を隠さなくなった。

つまり背伸びをして皆んなと同じをアピールしていたのび太が、気がつけばジャイアンに変質してしまっていたのだ。

その時、国際社会はやっとその事に気づいたのだが、時すでに遅し。

もう後戻り出来ないところまで来てしまったのだ、という感覚のが正直なところじゃないだろうか。

まさかこんなことになるとは…

今回、日本の外交官をウィーン条約に反して拘束した中国は明らかに一線を超えた。

恐らくプーチンの行動と無関係ではないだろう。

今、我々に出来ることはプーチンの犯罪行為をナチスやヒトラーに匹敵する非人道的行為として世界中が糾弾すること。

同時にウクライナとの連帯を呼びかけることしかない。

幸いに現代にはSNSという道具がある。

世界中の人々がこれに共鳴すればそれはそれなりの圧力になるはず。

そしてそれは覚醒した巨象のリーダーへの牽制にもなると信じたいし、力のみが正義という誤った認識を持ってしまった多くの人民、いや友人たちを救うことにもなると堅く信じている。

#withukuraine #戦争反対

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