中国の選択
中国はどこに向かおうとしているのか?
中国(以下、中共)は昨年夏以降、矢継ぎ早に大きな政策転換を発表して来た。
法改正を伴った主なものとしてしては、
・ネット企業に対する規制
・教育事業(学習塾)に対する規制
・不動産投資への規制(銀行の貸出制限)
・暗号通貨取引の原則禁止
・新規パスポートの発行停止
などが挙げられる。
中共を上げる訳ではないが、彼らは日本政府と違って無意味で場当たり的なお茶を濁すような施策は絶対に執らない。
必ず意味があり、時には数年後にあれはこの為だったのか?と思えることも多々ある。
いずれにしてもこれらの法改正により中国国内の関連業界では大きな影響を受けている。
その中でも有名なのはアリババやテンセントなどのIT企業と恒大グループなどの不動産デベロッパーだ。
確かにどちらも影響力を持ち過ぎた。
彼らは狙い撃ちされたのか?
特に恒大などによる不動産開発分野では中国の総人口が13〜14億人であるのに対して、現在建設中のものも含めたマンションが約30億人分存在しており、これはもはや誰が考えても供給過剰であり、投機目的となっていることは明らかである。
結果的に中国で富裕層と言われる人々のほとんどが不労所得を得ている人々であり、労働に対する意識が低下していることも事実である。
これを国防の観点から見た場合、さらには中共にとっての人民統治という側面から見た場合にそれぞれ彼らにはどう映るか?
彼らからすればこれは非常に危ういという結論になるはず。
例えば米中対立が深まりあわや…となった場合に現在の富を捨ててまで、富裕層とその子女がアメリカと本気で戦う選択をするだろうか?
場合によっては富を海外に移し、国外退避することも考えられる。
そしてその際にはむしろ人民の矛先は中共に向かうのではないか?
そう考える方が自然である。
内需拡大と国産回帰は自然なこと
故に内需回帰、国産回帰なのである。
つまり法改正を伴う政策転換の骨子は、社会的な所得構成を不動産や為替投機による不労所得ならびに実業から遠ざかったIT、ネット分野での所得ではなく、実業(主に製造、農業分野)からの所得構成に変えていくというものである。
当然、背景には自党と自国の安全保障がある。
これは結果として毛沢東路線への回帰であり、鄧小平路線を否定する形とはなるが、恐らくそこは分野によってハイブリッドで行くのだろうと思う。
バブル崩壊の序曲というよりもバブル回避策
日本では恒大のデフォルト問題は中国バブル崩壊の序曲とも言われるが、日本のようなバブル崩壊はないと断言する。
もちろん私のような草莽の日本人が断言してもあまり意味はないが、中国に20年関わった者の皮膚感覚としてはそう感じている。
むしろ昨年からの顛末はそれを防ぐための政策転換ではないか。
だからここ20年来の願望も込めた日本人による中国バブル崩壊説はそろそろ考えを改めた方がいい。
日本は中国を見習うべき時期
日本は中国やアメリカの行方を憂慮する前に自分の足下を見つめて、自国の発展と防衛について考えるべき時期に来ている。
これはなにも社会主義化しろ、独裁化しろ、と言っているのではない。
例えば中共は10年ほど前まではひたすらに爪を隠し、そしてそれを研いで来た。
自国にない技術は国外から輸入した。
軒先も母屋も外国企業に貸しながら技術やノウハウの獲得を目指した。
かつての日本もそうであったが、それが最も効率の良い方法だったからだ。
もちろんそれに賛否はある。
しかしそれだけに日本も原点回帰し国産回帰を模索する必要がある。
その為には爪を隠すことも必要。
中国の政策転換を他山の石とせよ!と強く思う。
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