竹生島へ 6
前回の記事の続きです。
宝厳寺本堂の屋根を下から眺めていたら、垂木(たるき)の木口や野地板(のじいた)が白く塗られているのに気づきました。
※垂木:屋根の斜めに張り出している部材
※野地板:垂木の上に貼られる板
少し離れて、もう一度本堂全体を眺めてみました。
どうも白い色が目につきます。
なんとなく不思議な気がして、帰ってから調べてみました。
屋根が建物の壁のラインより突き出ている部分を軒(のき)、その裏側を軒裏(のきうら)と呼びます。
寺社建築は背が高いものが多く、建物の壁を雨風から守るために、軒を長めに出す必要がありますが、軒を出そうとするほど、構造的に負荷がかかります。そのため垂木を太くしたり、本数を増やしたりと、強度をあげる工夫が必要になります。
通常の家屋では垂木は隠されている場合が多いですが、今回の法厳寺本堂のように、見える状態になっていると、美的な部分にも考慮する必要が出てきます。
垂木の木口を白く塗るのは、部材を保護する意味もあるそうです。
美と実用の両方を兼ねているのが白。そういうことらしいです。
後日談
家の本棚を眺めていたら、持っていることさえ忘れていた本が目にとまりました。法隆寺の宮大工、西岡常一さんの「木のいのち 木のこころ」。
国語の教科書で一部を読み、心惹かれて本を買い求めたのでした。
法厳寺の現在の本堂は、昭和17年に再建されたのだそうです。
80年以上前に、大勢の人たちが島と本土を行き来して、木材を運び、この複雑な構造を組み上げていった。
まさに、木の命と人間の命の合作です。
続きます。
おまけの話
白。白。兎も白い。
竹生島は弁天様の島。弁天様も白と関係があるのかな、と思い、ネットをあさったら、千葉県木更津市にある厳島神社に関する情報が目に留まりました。
この神社は白弁天と呼ばれているそうです。
本殿虹梁の上には波兎が踊り(!)、手水舎には亀(!)がいるとか。
なんだかいろいろ、法厳寺につながるなあ。
行きたくなってきてしまいました…。
(が、気持ち的には、長浜より遠い。麦畑が呼んでいないからでしょうか。)