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窓から月の光が
ある本の中で「あかり」という言葉が印象的で、ちょっと調べてみたくなりました。
「あかり」という言葉を表す漢字には、さまざまなものがありますが、今回調べてみたのは「明」。
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辞典って、知らない言葉を知るための参考書だと思うのですが、諸橋大漢和に関しては、書いてある内容について、私があまりに知らなすぎ、今回も、索引を見て、凡例を読み、本文とにらめっこし、あれこれネットを漁ってようやくこういう意味?という回答に辿りつきました。
(分厚い大漢和を広げて唸っていると、精が出るね、と子どもたちにねぎらわれます)
朙は小篆という書体。窓からきらきらあかりがさす「囧」と「月」を組み合わせたもの。窓から月の光がさしこむ意味。
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明はそれより古い古文の書体で、鳥や獣の足跡を見て漢字を作ったと言われる伝説の人物、蒼頡以来の古文字全体をさす。つまり一番古い漢字の形。お日さまとお月さま。
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明から朙が増繁(派生?)したのではと、段注(=説文解字注。中国の現存最古の字典、説文解字の注釈書)の記載から大漢和は解釈している。
地球から見える最も明るい2つの天体、太陽と月。
それが明という漢字。
太陽の光を受けて輝く月。その月が窓からさしこんでくる。
それ朙という漢字。
そして朙の中に含まれる囧は、窓からきらきらあかりがさすという漢字。
あかるい、という言葉に人が何を求めてきたか。
それが、漢字の形や意味の変遷として、残っているのかもしれませんね。
おまけ
私にとっての明るいはなにかな、と考えてみました。そうしたら、お日さまや炎より先に、この春の出来事とその時に一緒にいた人たちのことを、明るい景色のように次々と思い出しました。
走り切って疲れた表情の中に見えたわずかな笑顔。
陽光が反射してきらきら輝く水面と、一緒に歩いた人の後ろ姿。
楽しさいっぱいの手紙。
贈られた優しい言葉。