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定時退社は三文の得
昨日は、ほぼ定時帰社。
まだ外が明るい帰り道の生垣に、こんな花を見つけました。
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名札もぶら下がっていて、名前も知ることができました。
カラタネオガタマ。
明るいうちに帰ると、いいことがあるなあ。
オガタマの名は「招霊(オキタマ)」が変化したもので、サカキが生息することができない地域の神社では玉串や神の依代として使われます。
神楽で使われる神楽鈴(スズキとも呼ばれることがあります)は、実のついたオガタマの枝を模したと言われます。
上の写真は、オガタマではなく、カラタネオガタマ。
中国南部原産、モクレン科の常緑樹。
花は熟したバナナのような香りがするそうです。
カラタネは「唐種」、つまり中国種であることを意味し、江戸時代中期から明治初期にかけて渡来する前から日本に自生していたオガタマと区別するためにつけられました。
オガタマのことを調べていて、何度も行き当たったのが、古事記への言及です。以下は古事記で最も有名な場面の一つ、天岩戸開きです。
「天宇受売命、天の香山の天の日影を手次に繫けて、天の真折を鬘として、天の香山の小竹葉を手草に結ひて、天の岩屋戸に受け槽伏せて踏み轟こし、神懸りして、胸乳をかきて出て裳緒を陰に押し垂れき。ここに高天原動とよみて、八百万神共に咲ひき。
岩戸の奥にこもってしまった天照大神を外に連れ出そうと、天宇受売命が岩戸の前で踊る場面です。
天宇受売命は天香山のヒカゲノカズラをタスキにかけて、アメノマサキノカズラを髪飾りにして、桶を伏せた上に立って踊りますが、その時手にしていた植物が笹の葉ともオガタマの小枝とも言われるそうです。
オガタマ説がどこからきたのかは特定できず、この部分は自分への宿題です。ただ招霊という名前といい、神楽鈴やサカキの代わりに使われることといい、なにかと日本の神と関わることが多い木ですから、天宇受売命がこの世に日の光を呼び戻す時に持っていたとされてもおかしくないな、とは思っています。
話がどんどんずれていますが、最後に私が大好きな西馬音内盆踊りの一節をご紹介します。
時世はどうでも 世間はなんでも 踊りコ踊たんせ
日本開闢 天岩戸も 踊りで夜が明けた
ちょうどこの部分がYouTube動画でアップされていました。
(前奏の直後の踊り始めの部分です。)
日本の夜明けは踊りから。
そこにオキタマが立ち会っていた(かも)。
昨日出会ったカラタネオガタマ、咲いていたのは一輪で、まだまだ蕾を沢山つけていました。この後次々と開花するのが楽しみです。
あくまでも私が見かけたのはオガタマではなく、近縁種のカラタネオガタマですが…。
以上、今日はカラタネオガタマの話でした。
(苦しい終わり方…。)