地球には色がある
ちょっと前に「安野光雅」について語る講演に行ってきた。
その時は講演は聞けたけれど、時間がなくて展示まで見ることができなかった。
その後、行こう行こうとは思っていたものの、なかなか時間を取ることができなくて伸ばし伸ばしになっていた。
そして、12月22日(日)に展示が終了してしまうので、無理矢理にでも見なきゃ講演を聞いた意味が半分になってしまう!と突撃してきました。
講演を見て聞いた中で、私の中のイメージは「マウリッツ・エッシャー」に影響を受けたトリックアートの人というものだった。
確かにエッシャーの絵に影響を受けている感じは伝わるものの、安野さんの中で消化して別物の作品として生み出している感じがする。
エッシャーはもっと幾何学的というか数学的というか、モノクロの作品が多いからか芸術的で少し冷たい感じがしている。
一方で安野光雅はカラーの作品が多いこともあってなのか、温かみを感じて、絵本の中から今にも登場人物たちが飛び出してきそうな感じを受ける。
特に面白かったのは「おおきなもののすきなおうさま」だった。
これは、トリックアートというよりも、現実ではありえない大きさの物を次々と作らせる王様のお話。
特にお気に入りなのはペンチを鳥かごに作り替えていく場面。
私たちの目の前にある物も、大きさが変化するだけで全く別物になっていくのがとっても面白かった。
また、「数理科学」の表紙の原画展示もあって、そこの絵がとても素敵なものばかりだった。
ちょっと視点をずらした世界という感じがして、全く現実的には考えらえない事象なので、全否定することができずに「あー、なんかあり得そう」と思わせてくれる。
そして、安野光雅の風景画というかスケッチもあった。
その絵の中に存在する人、動物、自然、全てが生き生きとしている。
改めて「世界は生きているんだ」ということを再認識させられる。
それだけ安野のカンバスには地球全てがそれぞれに色をもって存在してる。
あまりじっくりと見て回る時間がなく、駆け足になってしまったけれど、行って良かったと心から実感できた。
それは、きっと、予備知識として講演を聴いていたからなのだと思うが、そうでなくても楽しめる。
時間があればもう1~2時間は余裕でいれたような気がする。
それだけの緻密な工夫がなされている。
今まで「原画展」というモノに意味を見出せていませんでしたが、今回で実際に作品と対面すると多くの事を感じれることを身をもって知ることができた。
明日、12月22日まで高松市美術館で展示しています。
お時間ありましたら、是非とも。