個人の問題は、社会の問題
あの出来事は、3,4年前くらいのことだったかな。
福岡の天神の交差点で信号待ちをしていたとき、白い杖をついた男性が、青信号で車がビュンビュン行き交う道路の方へ、進もうとしていた。
白い杖。それは、視覚に障がいを持つ方が、主に使用するもの。
私は、その時、ちょうど交差点の対角線上の向かい側にいた。
天神の交差点は、片側4車線(確か)の道路が交わる大きな交差点。
白杖をついた男性が、車がビュンビュン行き交う道路へ進もうとしているとき、
「あぁ!!どうしよう。危ない」と思いつつも、道路を挟んだ対角線上にいた私は、声を出せなかった。
確かに距離はあった。
声を出しても、届かなかったかもしれない。
白杖を持った男性は、ちょうど角を曲がろうとしていた車を運転していた男性が、交差点で車を一時停車させ、道路に進もうとしていた男性を引き止め、歩道に誘導したことで、その時はことなきを得た。
あの出来事を見たとき、社会ってまだまだ優しくないんだと思った。
生きづらさを抱える人がいる。
ハッとさせられた出来事だった。
今でもあの時の出来事は私の中で忘れられない。
あの白杖を持った男性は、あの後、そして、今、どうしているのだろう。
もうあんな目に遭っていないだろうか。
もっと社会に目を向けて、生きていかなければならない。
私一人が幸せになるんじゃなくて、みんなで幸せにならなくちゃ。
「下流老人」という造語を作ったことでも有名な、NPO法人ほっとプラス代表の藤田孝典さんが以前、講演会でこんなことをおっしゃっておられた。
「個人の問題は、社会の問題」
その言葉が今でも忘れられない。
(※私は、確かあの時、講演会を取材した気がするけど…。あの記事、どこかあるかな。もう一回読み返したいな)
この言葉を胸に、私は私に何ができるのか考える。
そして、それを一つずつ実行していこう。
あのような出来事が起こらない社会になるためにも。
自分だからこそできることを一歩ずつ、前進しよう。