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22 道端のコスモス
基本的に私は外出しない生活だった。
田舎だから、車が運転できないと大した買い物にいけないし。(絶賛ペーパー中)
しかし、今日は父も姉も家にいる。
一人で息抜きに少し散歩に出ようと思った。
外出の前に少しだけ母にたずねてみた。
「一番好きな花はなに?」
「コスモスかな」
コスモス!ちょうど売ってるかもしれないな〜
と思い巡ったが…
無い。
売っているのは菊ばかり。
おしゃれな花屋さんなんて近くにあるはずもなく。
しょんぼりしながら、とぼとぼ歩いていると突如目の前にコスモスが現れた。
街路樹の足元に、金属の間を抜けて、数本生えている。
なんと!奇跡だ〜!!
あれ、でも…道端に咲いてる花って…取っていいのか…?
迷った。ググった。
迷ったが引っ張ってみた。
だが、抜けない。
根っこがしっかりしていて、取れなかったのだ。
私はすぐに諦めた。母に話そう。
ーーー
「せっかくコスモスを見つけたんだけど、道端のコスモスだから取っていいか迷ったの。でもちょっと引っ張ってみたのね。そしたら全然抜けなくって。きっと、勝手に抜いちゃだめだよ!ちゃんと買わなきゃだめだよ!って意味だったのかも。。」
「そうだね、きっとそういうことだよ。」
このやり取りが、心地よい。
私の顔は全く母に似ていない。
親子に見えないくらい、似ていない。
でも確かに親子だ。
このバカ真面目さは母に似たんだ。
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お散歩に出たときの木の実。