読書
小さい頃から本はたくさん買ってもらえた記憶があるけど、何を読んでたかはあんまり覚えていない。こまったさんシリーズとか、日本の歴史や伝記の漫画シリーズとかそんなんだったかな。でもああやって本を読む癖というのがついたのは恵まれていたなと思う。
昨日は通院日だった。大学病院の混みかたは最近さらに激しくて、予約しても予約通りの時間になんて順番はこない。結局6時間待った。婦人科と産科が一緒だとこうなる。もう待つとわかっていて手ぶらで行って、ただ待っていてイライラするなんて意味がないし、のんびりお茶でもといったって待ち時間が全て解消されるわけもなく、待ち時間は読書に限るなと思う。昨日は非常に捗った。本に夢中になっていれば、待ち時間の長さにキレてクラークに怒鳴る年寄りや、前に座ったカップルの、まだかな?まだ呼ばれないのかな?と頻繁に女性に聞く、付き添いでついて来た男性のほうがそわそわしているような声も耳に入って来なくなる。しかし意外とこの本の選択はよく考えないと、いざ診察に入った時に、えーと、何時間も待ったのになんだっけ、何聞こうとしたんだっけ、どう聞こうとしたっけとなってしまう。もちろん今日確認することや聞くことはメモしていくのだが、読む本の選択を誤ると、調子が狂ってしまって不完全燃焼みたいになって診察室から出てくることになる。例えば失敗したのは、昔から大好きなアメリカの有名なミステリー作家の新刊を待ち時間に初めて読む時だった。待ちに待ったミステリーの世界にのめり込みすぎて、犯人に主人公が背後から襲われ、ああ、誰か助けにやって来て早く!とドキドキハラハラしながら結末まで一気読み、の、寸前で呼ばれた時は、小説の結果は気になるところでやめないといけないし、あまりに世界に入り込みすぎて、私の頭の中は、なんだっけ今日は何聞くんだっけ、あー、犯人誰なんだろう!になってしまった。まあ、聞き忘れたところで次に聞けばいい話の方がほとんどだが、精神的にモヤモヤしたそまま次の診察日まで待つよりは聞いたほうがいいに決まっている。あ、ちなみにその作家は毎年クリスマスに日本語版の新刊を出すんだけど、ついにもうシリーズの新作は出なくなってしまいました。寂しい。病棟に入院したときに大量にその作家の本を積んで置いてたら、この作家を好きな看護師さんが私のテーブルで見かけたようでたくさん話してくれた。苗字まで同じなのには何か縁を感じて嬉しかったなあ。それで、最近はやっぱりこういう外来の待ち時間に読むのにいいなと思うのは、ショートショートかエッセイだ。ショートショートはいくらハマっても、一話でパッと完結する。エッセイは、テーマごとに完結するからこれも短くていい。どちらも、強烈なインパクトを与えるものよりは、日常をテーマにしたものがちょうど良い。色々試したけれど、私はショートショートなら星新一さん、エッセイなら森博嗣さん(ミステリーで有名だけど人生観がさすが理系でさっぱりしている)がちょうど良いようです。待ち時間に読書している人、たくさんいるけどみんなどんなの読んでいるんだろう。
昔の歌の師匠は、NHKでジャズピアノを弾いていたイケてるおじさんだったのだけど、本は一切読まない主義の人でした。本は一人の人間が書いているのだから、それを一冊読むことの意味がないと言い切ってた。あとは、仕事で関わった後輩が、国立大法学部出身で、私もよく見解と助言をもらい、法的な解釈や判断に迷った時などは非常に頼りになり助かっているのだが、彼も本を一切読まないと言った時には驚愕した。本を読むなら法律書読んでるほうがいいんだって。そうなんだ、そうなのね。本読んでる時間がもったいないのかなんだか聞くのは忘れてしまった。若い人は本を読まない、漫画ばっかり読むからだと年寄りはいうけれど、どの時代にも、ポリシーを持って読まない人たちがいるということです。
やっとKindle使い始めたけど、電子書籍がこんなに便利とは。でも、前述したような、入院した時にたくさん持ち込んだ本を看護師さんが見かけて声をかけてくれたというような出来事はなくなってしまうね。
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