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テイラー・スウィフトをとおして自分と向き合う ERAS TOUR

テイラーのEras tour東京公演のチケットを一番高額のVIP1で取り、嬉しい半分 恐い半分の気持ちになった。

なぜ恐いのかというと、自分はテイラーのライブにふさわしくないのではと思ってしまったからだ。
私はテイラー・スウィフトみたいなど真ん中な存在やポップミュージックより、もっと片寄ったものを好きなつもりでいて、本当はテイラーの音楽大好きなくせにそんな自分を認めてなかった。
テイラー・スウィフトを聴くことが自分に似合わないと思っていたから。
一軍女子な音楽だと思ってたから。

【We are never ever getting back together】の「あなたは心をおちつかせるめに、私のよりクールなインディレコードを聴いてる」って歌詞。
あの歌詞に「インディロック終わりの最終通告された」とか「刺された」とか思った人もいる。
私は、全部見透かされてると思った。
自分は取り繕って装ってるだけなんじゃないかと感じた。

Eras Tour の映画を観たとき全部崩壊した。初っぱなから涙が溢れてきて、「本当は私、この人にすっごく憧れてるんだ。大好きなんだよ。」と、テイラーの蜜をバジャーと浴びて自分の本音に気付いた。

なんだかんだでずっと目で追っていた存在。

10代の夢見る女の子の日記のようなカントリーミュージック。
絵に描いたようなクラシカルスタイルで良い子なルックス。
カントリーシンガーという枠を超えて音楽業界のスターになり、ポップミュージックへ移行。
きらびやかなセレブ業界での恋愛事情やバトルも、ひどく批判されてボロボロになった自分のことも曲にした。
コロナ禍の静けさの中でインディフォークアルバムを出した。
揶揄されてきたことも、ミュージックビデオで自分の表現にしてしまう。
AWARDSで誰かがパフォーマンスしてるときに楽しそうに踊ってる。
ヒドイこと言われても何があってもそれを曲にして立ち上がってくるところ。
大好き。嫌なところなんてひとつもない。
あんな風になりたいって憧れてる。

2022年にリリースしたアルバム【midnights】がテイラーの繊細さと真面目さと興味深い感受性がよく表れてて、こんな曲も作るのかと驚いた。
恋愛色少なめで、自分自身をじっくりスキャン
して魔法をかけたみたいな幻想的なアルバムで、テイラーより年上の30代後半の自分にしっくりくるアルバムだった。

テイラーがカントリーからポップに移行したことは、それは世の中に求められていた流れだった。
テイラーはみんなに認められるめに、期待に応え、刺激を与えてくれた。テイラーはどんどん覚醒していきあらゆる困難も逆手にとって躍進していった。
スターであるテイラーにふりかかる困難は一般人の経験とはまったく異なるけど、10代20代30代のテイラーの経験を約分すると一般人の女性が共感する内容になっている。
テイラーの年齢と共に曲も変化していき、
10代のときは夢見る女の子
20代のときは現実の恋愛や社会を知り学び強くなっていく女性
30代のときは自分の立ち位置への不安や自分が辿ってきた道を噛み締めている感じ

テイラーのようなセレブでない一般人の女性も共感する心情になっていて、
リスナーも一緒に成長していく感覚になる。これがテイラーの最大の魅力だ。
「テイラー・スウィフトは自分の人生の一部だ」と言うファンが多くいるのも当然だ。

他のアーティストと比較するとテイラーのアルバム数はめちゃくちゃ多い。
優秀なブレーンがいるテイラーチームの戦略もあるだろうけど、曲作りは何よりもテイラー自身のセラピーであるだろうから、アルバムをリリースした数だけ脱皮してきたとも言える。
女性が社会の中で闘争し成長し成熟していく歴史書を作り上げた。
結果的に世界中にインパクトを与え、文化や経済にテイラー現象を起こした。

東京でのEras Tourには、見るからにスウィフティな若くて可愛くてオシャレな女の子ばかりなんだろうなと思ってしまって、自分が浮くんじゃないかと恐かった。
自分に無い素敵なもので溢れてるテイラーに直面するのが恐かった。

【行くのが恐いところが、あなたが本当に望んでる場所】って説は間違いないと思う。
でも「何で恐いの?何が不安なの?」てことを自問自答して、今はもう自分を隠さないぞ、という気持ちになったので、歴史的なライブに行けることをとても楽しみにしてる。

行かなかったらまた自分を隠して生きてしまいそうだから。

パワフルすぎたり尖りすぎたり革新的すぎる音楽に興奮もするけど疲れたりもする。
テイラーの曲聴くと本来の自分の位置に戻れて素直になれる。

一軍女子だと勝手に思ってたけど、
テイラーはカントリーミュージックをやっていることを子供のときにからかわれたりして、変わった子扱いされてたんだよね。
それにスターになってからも同時期の他の女性シンガー達が個性強すぎて、比較されてテイラーは良い子ぶりすぎてるとかつまらないとか言われたりもしててさ。

というか「一軍女子」なんて存在はコンプレックスが生んだ幻なんじゃないか。
誰もが「自分は人と違う」「何かが足りない」と思うところがあって、それを隠して何かになりすまして生きてると思うよ。それが普通なんだと思う。
そんな世界中にいる置いてけぼりになりがちな「普通の女の子たち」が安心して礼拝できるテイラー・スウィフトの歴史的ツアー。
行ってきます。


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