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家主 こんなに良いバンドは いそうでいないんです。

タワレコによる家主のレビューが、とにかく伝えたいワードを全部組み込んだぞー!って感じでとても好きです。まったく同じことを私も思っています。

家主を聴いてると、fountains of Wayne とかteenage fanclubみたいだなぁと思って、とても心地よい。ビートルズ直系バンドサウンドみたいな、自分はやっぱりこういうのが一番好きなんだなと実感しました。

自分が一番多感な時期に胸をときめかせてたのがギタポ、パワポなので、結局一番落ち着くのはここなのでした。

なにより家主を聴いていて奥田民生が脳裏によぎったことに胸が熱くなりました。

自分は10代後半~20代のころ猛烈な奥田民生ファンでした。その頃民生さんは40歳くらい。キャーキャー言われる頃を過ぎた民生さんは、独特の貫禄と脱力感と自由な人という空気を纏って、“力抜いててカッコイイ”というポジションを確率した発名人です。

エレキギターってカッコイイ、という当たり前の事に最初に感動したのは民生さんの音楽でした。ギター、ベース、ドラムのシンプルな構成で高い技術力をもって体をくねらす音楽を無限に作る奥田民生が私にとっての基礎であり原風景です。
家主を聴くとそんな原風景が脳裏に浮かび、
さらにキリンジ、中村一義、くるり、はっぴいえんどなどをも彷彿させました。
UK.USの影響がありつつも日本語がしっくりハマる独自のサウンド。
そんな有機的な上質J-ROCKサウンドを引き継いでいるであろう家主。こんなに絶妙に良い曲作るバンドって、いそうでいないですよ!!
なんというか、右脳と左脳どっちかに片寄らず均衡を保っている絶妙なバランス、みたいな。
だから、もう天才!としか言いようがないです。
グッドメロディーすぎて琴線に触れまくるし、
ミドルテンポがやっぱ一番心地良いし、
ギター、ベース、ドラムの音だけで作るサウンドが一番カッコイイ!
バンドっていいなぁ なんて改めて感慨深いものを感じました。

家主は田中ヤコブ、田中悠平、谷江俊岳の3人が自分の作った曲は自分で歌う3ボーカルスタイル。
3人の味変を楽しめます。
ボーカルが変わっていくという型にハマらない自由さ、ユニコーンを彷彿させます。

USインディーの影響を受けてるのかなぁと思わせる曲が多くて、とくに谷江俊岳さんの曲はドライなニューウェーブ感と美しいアルペジオが印象的で、ときめきます。
イントロでこの曲好き~と思ったらだいたい谷江さんの曲でした。私はアルペジオが大好物なもので。

TBSラジオ「CITY CHILL CLUB」のアーティストらがテーマをもとにプレイリストを作成するというのがあって、谷江さんがセレクターのときのプレイリストが本っ当に最高でした!谷江さんの作る曲の空気感の源たちじゃん。

ベース兼ボーカルの田中悠平くんの曲は正統派感があってこれもまた良いんです。
純朴な好青年のようなボーカルです。なんて青空が似合う声なんだ。
彼の作った曲「オープンカー」はライブのラストでめっちゃ盛り上がる。『僕たちの金なんだ どう使っても構わないだろ』のところはみんな腕を上げ、ライブ見に来た全員の本心がフロア中に飽和し、みんなが1つになってる~!感がめちゃくちゃあります。盛り上がる曲をいくつも終えてのラストでやる曲なので、最初はあまり体を反応させずにいた人たちもこの曲のときには楽しさを体現しているようです。

はじめは家主のアー写を見て、こんな感じなんでとても陽気なバンドなのだろうと思いました。

だけど歌詞を耳で聴いてなぞっていると、なんか、やるせない感情ばっか歌っている。
うまくいかない人生を歌っている。
中心人物の田中ヤコブさんの曲がそうだった。陽気ではない。

それがとても良かった。その感じはとても私を安心させた。
ポジティブなメッセージが世の中にあふれて、“自己肯定” “ラブマイセルフ”などという言葉に手垢がつきまくり、ポジティブなメッセージにだんだん疲れてきたこの頃。じゃないですか?みんな。

落ち込ませてよ、弱音はかせてよ、人間てみんなネガティブ思考で頭いっぱいなはずでしょ。
そんな私にとって家主の音楽は痛快だった。

「家主のテーマ」の歌詞に、
『家主の曲はいつでも 君の味方なのにさ』
『家主はいつでも真面目に生きてきたんだけどなあ』ってあって、
~なのにさ ~だけどなあ って語尾がとてつもなく人間味があって大好き。
やるせない歌詞なんだけど、どうにでもなれー!!!って発散するようなバンドサウンドが最高だ。ライブでみんなアガる曲。
何がいいって、ドラムが良いんだ。パワフルなドカドカドラムがみんなをドライブしてくれる。ありがとうドラムの岡本さん!
茗荷谷、p.u.n.k、NFP、オープンカーもとっても盛り上がりますけど、マイグラントがライブで聴くとドラムのビートのヤバさに雰囲気が変わってアガります。
最高だよ岡本さん!

私は家主のライブに行くと《どうにでもなれ》精神が宿ってすごく楽しく動きまわってエレファントカシマシみたいになってしまいます。


田中ヤコブさんのソロ作は更にやるせなさが丁寧に繊細に紡がれていて、そんな閉塞感のある歌詞とはうらはらに開け放たれたサウンドが切ないくらい爽やかで「この音楽大事にしたいー!愛おしいー!」って抱き締めたくなります。
家主&田中ヤコブが愛おしすぎてツライ。


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