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神の声と精神医学

日本人の7割以上が信仰や信心を持っていないと公言している

統計数理研究所「国民性調査」2013年

私がブルガリア留学時代に出会った友達は、ほぼ何かしらの宗教を信仰していた。

私は大事な局面で、神社にお参りに行って神頼みをする事はあっても、普段の生活で神様に祈りや教えを乞う事はない。

周りの友達は大層不思議がっていたな。

「あなたは何を信じているの?」

なんて聞かれて困ったことを覚えている。



精神科での授業のこと。

私たちは統合失調症について授業を受けていた。

先生「統合失調症の症状の特徴は幻覚や妄想だよ。神の声を聞いた、電磁波で攻撃されているって言う人が一定数いるよ。」

アハメッド「神の声が聞こえるって言ってたけど、敬虔な宗教家かもしれないじゃん。どうやって見分ければいいの?」

アハメッドはトルコ人でムスリムだった。

いつもフリーダムな行動してるのに中々するどい。


敬虔な宗教家か病気かどうかの見分け方は、本人が現実と区別できているかどうかだ。

信仰心を持っていない私からすると、神の声を聞いたと誰かに言われたとしたら、それがすでに現実離れしているんじゃないのかとつい思ってしまう。

敬虔な宗教家かもしれないじゃんって発言は、信仰があって普段から神の声を意識しているからなんだろうね。


アハメッドの言葉を聞いて長年不思議に思っている事がある。

幻覚は一般的に「対象なき知覚」と定義されて、知覚は刺激に対して意味づけを行う過程だ。

例えば、何かが聞こえたとして、なぜ統合失調症の患者さんはその声が神の声だと思うのだろうか。

しかも、ブルガリア人と日本人の統合失調症患者さんのどちらもが、神の声を聞いたとか、電磁波に攻撃されているとか同じ訴え方をしていた。


統合失調症患者さんの幻覚に対する認知は、民族、文化、宗教などの因子に左右されないものなのだろうか。

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