【たわごと#221】試行錯誤する楽しさを知ってほしい
以前録画していた番組を見ていたら、数学のカリスマ教師の井本陽久さんという方が出ていた。私も趣味で数学をやっているので気になって録画しておいたのだと思うけど、なかなか画期的な授業を行っていて楽しかった。授業は教科書は使わないし、板書もしない。授業が始まると、この先生はオリジナルの問題を出してみんなに解かせるだけ。なかなか斬新なやり方だ。
この授業方法は数学好きとしては本当に嬉しい限りで、型にはまった問題を解くのも嫌いじゃないけど、見たことも無いような問題を想像力を働かせて答えを手繰り寄せるのはとても楽しい。実際に授業は盛り上がっていたし、とても良い試みだと思う。ただ教科書通り進めないと授業についてこれない子がいたり、親御さんから苦情が来ないか心配になるけど、なかなかの進学校なのだろう、そういうことは無いみたいだ。
この先生の言っていた事ですごく納得したのは「試行錯誤を知る事が大事だ」という事だ。最近は何でも手っ取り早く答えを手に入れようとし過ぎていて、時間をかけて悩んで考える事をしなくなった気がする。仕事でも成果主義が進んで、何かやったら必ず成果物が求められて、ついつい価値の無い成果を作るだけの仕事をしてしまうことがある。でも悩んで仮説を立てたり、色々試して失敗するのってすごく重要だと思うし、この経験が無いとなかなか成長できないのでは無いか。私自身、個人的にこのような試行錯誤をしてきたのが役に立ってるなと感じる一方で、教育現場で学ぶ場所はなかったと思う。
ただ気になる点もある。この先生は従来のやり方である教科書に書いてある問題(答えがあって、解き方がパターン化できるような問題)を教師が教えるスタイルを否定していたけど、やっぱり基本は重要だと思うのだ。たぶんこの学校は私立でこういう勉強をたくさんしてきたからこそ、この先生のやり方が馴染むのだろうけど、先人が積み上げてきた知恵を学ぶということは疎かにしてはダメだと思う。単純にどちらも重要なんだけど、やっぱり試験で点を取らなければならないので、やはり教えやすくて点になりやすい従来の教育が支持されてしまうのだろう。
文科省の偉い人達も色々悩みながら教育のカリキュラムを作っているのだろうけども、時間をかけて失敗を繰り返しながら答えを探り出すような勉強をさせてあげて欲しいなと思う。それこそ不人気極まりない終結を迎えてしまったけど、ゆとり教育で教えたかった事だったような気がする。多くの人が目先の得点の為に苦しむのでは無く、考えて試行錯誤して答えにたどり着く楽しさを知って欲しいと思う。