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【映画の感想#23】完全なるチェックメイト

チェス界の英雄だったボビー・フィッシャーの生涯を描いた話。私はチェスの知識はほとんど無いけど、2004年に来日して話題になったこと、これが訳アリの入国で、彼を救う為に将棋の羽生さんが当時の小泉総理にフィッシャー氏に日本国籍を与えて欲しいと嘆願書を書いたことは知っていた。残念ながらこの作品ではその辺の話は触れられていなかったけど、フィッシャーの奇行ぶり、天才ぶりがよく分かる内容になっている。

フィッシャーは15歳で最高の称号であるグランドマスターを取得し、世界チャンピオンを目指すようになるが、時はアメリカとソ連(今のロシア)の冷戦時代。チェスはソ連のお家芸みたいなもので、当然アメリカ人のフィッシャーには場内、場外と色々な攻撃を仕掛けられ、それに腹を立てたフィッシャーは世界戦から撤退する事となる。

しかしその後復帰し、世界チャンピオンをかけて当時のチャンピオンであるソ連のボリス・スパスキーと戦う。フィッシャーは元々繊細な人だったんだけれども、この時は病的になっており、客の声がうるさい、カメラのテープ音が気になる、駒を置く音が気に入らないから台を変えろと言いたい放題。相手のスパスキーも椅子がおかしい、X線にかけて調べろなど、当時の二人には相当なプレッシャーがあったことを伺わせる。

この死闘の末、フィッシャーが勝利しアメリカの英雄となるわけだけれども、その後は国に対する反逆行為を繰り返し、アメリカ政府から国籍剥奪される事となる。一線を退いてからの行動はこの映画には現れていないけど、米ソ冷戦の代理戦争の先陣として戦ったことによる精神的な疲労は相当なものだったんだろうと分かる内容だった。

正直なところ、何も知らないとちょっと映画を見てもピンと来ないのではという感じもするけど、とりあえず見ておいて損は無いと思う。ちょっと知識を付けてから見たいという人には著書も出ているので、そっちを見てからでもいいかもしれない。

#映画 #感想 #完全なるチェックメイト #チェス #ポリススパスキー #ボビーフィッシャー

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