『東京全力少女』はドラマの理想形である

僕は『東京全力少女』というドラマが大好きだ。好きなドラマは挙げきれないくらいたくさんあるが、大体は多くの人が挙げるドラマだったりする。僕は大好きだが、あまり人が言っているのを聞いたことがないドラマというと、『東京全力少女』なのだ。
このドラマは大平太がプロデューサーで、伴一彦が脚本を書き、武井咲が主演を務めた、2012年10-12月期の日本テレビの水曜10時のドラマだ。『家政婦のミタ』のちょうど1年後に放送されたドラマだ。
このドラマの良さを言葉で表現するのは難しいのだが、試しに言ってみるならば、「軽い」ということになるのかもしれない。
ドラマにも色々あるけども、人間ドラマを描く以上は悲壮な重い感じがどうしても出てくることが多い。僕が好きなドラマで言うと『家政婦のミタ』はまさにそうだし、基本的にはポップな『マイボスマイヒーロー』でも熊田一家が出てくるところなどは緊張感がある。本作ではそういう感じがない。ずっと明るい。しかも大事なのは、扱ってるテーマは実は重く描けるようなものということである。父親が出て行った母子家庭、嫁と別れて娘を育てる司法試験浪人、三股しているタワマン住みの弁護士、ろくに働かずに実家から出て行かないで女を追いかけてるだけの若者というように、他のドラマだったら暗く描かれかねないような人物やシーンがたくさん出てくる。しかしずっと明るく、笑いが絶えない。この良さ。この解放感。
社会的な決まりきった意味付けから自由な、洗練されたドラマ。2012年頃の開明的な空気も影響したのだろうか。『東京全力少女』は理想のドラマだ。

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