読書記録30 『バンド論』
奥野武範『バンド論』(青幻舎 2023年)
5人のフロントマンのインタビューをまとめたもの。自身もバンドをしているので購入してみた。
自身のバンドでは、主として作詞作曲をしてくれるリーダーがいて。どちらかといえば、その音楽に惚れてそれをどう伝えるか。伝えるべきかを考えている。
自身の弾き語りでは、自分で作った曲を歌っている。なぜソロをするのかもよく分かってはいない。つまりは、音楽は好きだけどバンドをやる魅力のほうが自分の中で大きいのだな…。
著者は、バンド組んだという中学生は誇らしげで…。バンドというものの魅力や不思議さを書きたかったという。
本を読むうちに、自身の体験がフラッシュバックした。
忘れもしない、中1の冬に幼なじみがギターを弾いている姿に憧れて衝撃をうけ。中2に上がる直前の春休みにギターを手に入れた。モテたいわけでもなく、音楽に惹かれてひっそりと始めた。だれにもギターを買った!などと言うこともなく。幼なじみとは、友人関係や進学先なども違って『いつか、一緒にバンドをやれたらいいね』などという口約束とともに疎遠になった。
高校生になると、左手を骨折するなどしギターの腕前はなかなか上達せず。バンドを組み活動するも文化祭のコピーバンド程度。自分が作ったバンドを、上手くもないのにオリジナルをしたいといったドラムやギターに納得がいかずに辞める。(←頑固だな。)
大学は、地方の国公立大へ。4年間いろんな音楽に触れようやくオリジナルもやるか?というところで卒業した。(本当にいい時間だった。様々な人と音楽に触れられたことは大きな財産になった。)
その後、紆余曲折。地元に戻った時に、今のバンドに誘われて加入。そして、10数年が経った。細々ではあるが、自主企画やCD作成からのツアー。全国に友達も会いたい人もできた。
バンドは生活の一部。趣味といえば軽くなる。仕事ではないし、だけども切り離すことのできない大切なものになっている。そして、『いつか、バンドを一緒にやれたらいいね』といった幼なじみとは今バンドをやれている。べったりではないが、音楽的に人間的に信頼しあえる仲だ。1から10まで言わなくとも伝わる。
本の中で5人のフロントマンが言っていたようにバンドには不思議な力がある。使い古されているかもしれないが、足し算ではなく掛け算かもしれないし。キラキラしたマジックがかかる瞬間もある。
文中のイントロ。
『いつかバンドでも組もうぜ』
間違いなく、魔法の言葉だ。