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無事

「無事」
一年の締めくくりによく掛けられる軸です。
無事に健康で一年を終えられることに感謝する意味でかけられます。年末にこれが掛からないとしまらないという教室も多いと思います。

しかし、先日煎茶の茶会で禅語としてはもう少し深い意味があると教えてもらいました。
『臨済録』に「無事是れ貴人、ただ造作すること莫れ、ただ是れ平常なり」とある。
「無事」とは「平穏無事」のこと。あれこれと細工をしないで、自然でいることの意味ですと。
どんな困難な時代となっても、どんな困難なことが起こっても自分自身は変わらず平穏でいることこそ貴人であるという意味です。

その瞬間、私の師匠である母の顔が浮かびました。
コロナ禍になっても、緊急事態宣言の2か月だけ休んだだけで、教室を再開しました。どんなことがあっても茶道は辞めないという強い意志と変わらぬ心を持っていました。
「無事是貴人」
貴人であることを教えてくれていた師匠が目の前にいました。



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