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初夏の名席体験会 葉雨庵

藤や菖蒲の開花で賑わう5月の7日〜8日、小田原市板橋の松永記念館にある葉雨庵にて、初夏の名席体験会を開催いたしました。


葉雨庵は小田原三茶人一人である野崎幻庵が大正8年に東京の渋谷区羽沢にあった自宅に建築した茶室でしたが大正13年の関東大震災で倒壊し、再建したものを、引退後に居を定めた小田原市諸白小路の自怡荘に移築しました。

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記録によれば大正八年六月に羽沢にて開席の披露茶会が行われ、その後一年をおいて大正十年の六月に同じく羽沢にて初風炉の茶会が催されたのが、葉雨庵を代表する茶会となっているようです。

その後1986年に現在の松永記念館に移築され様々な茶会等に活用されております。

「設計は幻庵自身で,彼の代表作のひとつ。屋根は桟瓦葺,三畳台目中板入の茶室に,二間四方の水屋が附属する。洗練された意匠をもち,床の間・中板及び中柱による室内構成が優れている。」 (文化遺産オンラインより)

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二畳に広い板の間の付いた水屋は大変使いやすく、茶道口と給仕口が双方向にあり、亭主と半東の動きを取りやすい計算されつくした構造であると感じました。

茶室のまわりは前日から松永記念館の職員さんが作業し綺麗に整えて下さっておりましたので、露地を通って席入をしていただくことにいたしました。

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お茶会が初めてのお客様も蹲踞や躙口の作法に挑戦し、ベテランのお客様が丁寧にご説明してくださっている楽しいご様子が、水屋からも見えました。

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お菓子は箱根湯本の「ちもと」さんの練り切り「花菖蒲」。葉雨庵の前の庭園にも黄色い菖蒲が満開でした。

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お一人ひと盌の濃茶は分量が大変難かしく、服加減もそれぞれ微妙に違ってしまい、いつもながらおしゃべりに気を取られ点前も間違えてしまった箇所が色々とありましたが、皆様に暖かく見守られて無事に終えることができました。

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片付けを終え、楽しかった席中と水屋のことを思い巡らしながら松永記念館を後にする頃、池のハスが花を閉じかけておりました。

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