![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/77029070/rectangle_large_type_2_d62bf63c5cb1bc3cdfb12b873ae3dc94.jpeg?width=1200)
【ネタバレ注意】“第1話だけ”スパイファミリー解説 〜徹底的に自分を捨てたその先にこそ、本当の自分がいる〜
↑📻✨スタエフ版も公開しています!ぜひ聴いてね☆😍↑
いきなり私事の報告になるんですが、最近寝不足です。
というのも、最近「ジャンプ+」っていうアプリでスパイファミリーが無料で見れるんですけれど、つい「もう1話、もう1話だけ!」ってついつい時間を忘れて没頭してしまうんですね。
今28話まで読み進めた段階ですが、「こんなもん大ヒットするに決まってるわ」ってなってます。
というのもこのスパイファミリー、今の時代を生きる人達の価値観にものすごくマッチしたテーマを持っているんですよね。
そのテーマがズバリ、
「徹底的に自分を捨てたその先にこそ、本当の自分がいる」
ということなんです。
簡単に解説します。
主人公の名前はロイド・フォージャー。美人の奥さんと可愛い一人娘と3人で円満な家庭を築いている若き精神科医。
しかしそれは表向きの顔。
その正体は、本名素性一切不明のスパイ・コードネーム”黄昏(たそがれ)”!!
黄昏はルパンみたいな変装スキル持っていて、それでいろんな場所に姿を変えながら潜り込んでミッションを遂行させていく・・・といったことを十数年続けてきました。
スパイ活動の目的は世界平和。
隣国との衝突を避けるために、得意の変装で要人のふところに飛び込み、時には暗殺も辞さず、情報を政府に持ち帰るのが主なお仕事。
黄昏は基本的に一人で仕事をしていたんですが、ある日、任務に必要っていうことでとりあえず間に合わせの奥さんと間に合わせの一人娘が必要だよってなったんですね。
(この辺の詳細は漫画を読んでください)
それで、その辺の孤児院から娘役の少女アーニャを見繕ってきたんだけど、このアーニャがとんでもない問題児。
こっそり(スパイの)仕事についていこうとするわ、勝手に無線機をいじって敵に居場所を知らせてしまうわ、何かあったらすぐ泣き喚くわで、
流石の黄昏もイラついて、「今からでも別の子にしようかな・・・」って思い始めたんですね。
しかし黄昏はふと、感情に流されたらいけないスパイの身の上なのに、目の前のアーニャが泣いているぐらいで必要以上にイライラしている自分に気付くんです。
泣き喚くアーニャの姿は、幼い頃の自分にものすごくよく似ていたんですよ。
自分もこれぐらいちっちゃい頃は何もできない無力な自分でしかなくて、それで泣き喚くしかなかったていう過去があったんですね。
だから、今の子供達が昔の自分のような絶望を味わわなくて済む、
「子供が泣かない世界を作りたい」
という願望があって、そのためにスパイになったんだっていうことを思い出したんですね。
黄昏はスパイとして過去の自分の何もかも捨てて、任務のためだったら顔も名前もいくらでも変えて、恋人さえもあっさり捨てちゃってみたいなことをしてたんですけど、
そうした「自分」というものが全く無い(あってはならない)任務の家庭で、「子供が泣かない世界を作りたい」っていう「本当の自分」を思い出すんですよね。
この構図がすごい面白いんですよ。
自分がやりたい事や本当に叶えたい事って、実は誰しもが持ってるんですよ。
ただ忘れているだけで、必ず誰でも持ってるんです。
(現に、主人公の黄昏自身もそういう風に描かれていますよね。)
どんな人も、最初のは何かこう、熱い志とか魂・・・もっと言うと、魂からの渇望だったりとか、もしくはそこまで大げさじゃなくても、「こういう世の中だったらいいのにな」ぐらいのレベルの物って必ず持っているんですよ。
でもそれは、生きていくうちに自分の仕事(例えば黄昏の場合はスパイの仕事)に忙殺されていくうちに忘れてっちゃうんですよね。
でも、ある日突然、その忙殺されていた仕事に、自分の使命を思い出させられるんです。
ただ、世の中には、自分のやりたい事を思い出せる人と思い出せないまま一生を終える人の2種類がいるのは事実で、両者には決定的な違いがあるんです。
冒頭でも触れましたが、その違いとはズバリ、
「徹底的に自分を捨てること」
なんです。
黄昏は、素性を隠す必要があるスパイとして活動する上で、必然的に自分を捨てるということを求められます。
人間関係ですとか、名声ですとかも、任務のために作ったりでっちあげたりすることもあれば、捨てることもあります。
家庭を持つこともまた然り。
その辺で妻を見繕ってきて、子供も孤児院から無難そうなやつを拾ってきます。
(そして、直前まで恋人だった女はアッサリ捨ててしまいますw)
でも運命とは不思議なもの。
テキトーに拾ってきた偽の愛娘を通じて、
「子供が泣かない世界を作りたい」
という、自分がスパイを続けていた本当の理由を思い出します。
自分の本当の名前さえも忘れて仕事に没頭していった先で、かつて自分自身に誓った使命に再会するんです。
いやそれどころか今この瞬間やっているこの仕事こそが自分の本当の使命でありむしろこの仕事のために今までの人生があったんだということに気付かされるんですよお!!(超早口)
と、このように、
「個我を極限まで削ぎ落とした先にこそ、真我(アートマン)がある」
という、
まるで仏教の悟りの境地のようなことを第1話でやります。
もう一度言います。
第1話です。
普通なら主人公が今際の際で悟るような事を、この漫画では一番最初に持ってきます。
つまりどういうことか?
これこそが今の時代を象徴しているんです。
もはや自分らしさを取り戻すことは当たり前。
その上で、この先どう生きていくか?
どのような人生を全うしていくか?
それが、この令和における日本人のスタンダードになりつつある。
そういうことが、この漫画からは読み取れるんじゃないかと思っています。
(※遠藤達哉先生の意図は全く知りません)
というわけで、長くなりましたが今回ご紹介したスパイファミリー。
「徹底的に自分を捨てたその先にこそ、本当の自分がいる」
という人生の真髄(のひとつ)を、主人公の生き様から見習う事ができると思うし、こうした主人公の人物像はものすごい共感を呼びやすいと思いました。
重ね重ね言いますがこんなもの、ウケるに決まってます。
ジャンプ+で読むなり、作者の公式Twitter見るなり、プライムビデオでアニメ観るなり、
とにかく1話だけでも見てみて下さい。
↓目次