グループという名の狂気

 テニスを初めて間もない頃、驚くほどときめく出会いがありました。
 入門の私に同年代の同性の上級クラスの友人ができたのです。本当に見た目もかわいくて、オシャレできれいでしかもお笑いセンスもあって面白く、とてもテニスもうまい。
テニスはストロークは男性並み、サーブとスマッシュもボレーもオールマイティ。身体の使い方がうまく、元来の運動神経のよさが現れるプレイスタイルです。
 こんな愛くるしくてテニスもうまい女性がいるのか?しかも、その人は大人になってからテニスを始めた。憧れとキュンと尊敬が一気に来て、知り合った日は興奮してドキドキして夢のようでした。
 そして、そんな彼女の周囲には、それはそれはテニスのうまい素敵な男性たちがいたのです。

 入門の私が彼女の導きのおかげで上級の男女とテニスができる。普通なら萎縮してしまうところ、彼女が目をかけてくれるため、大目に見てもらえる、ごまめ扱い成立で、上手い人たちとテニスができるありがたすぎる日々。

 けれど、長くは続かなかったのです。テニスカーストがないグループだから、私のような初心者でも別け隔てなく付き合っていけると言ってくれた彼女が豹変したといいますか。
 すごくすごく世話してくれた人は、対象に見返りを必ず求めるものなんです。私は支配されていきました。
 じわじわ時間をかけてだったので、ちょっとの違和感があっても「そんなはずはない」と誤魔化してきたのです。しかし決定打があり、もう無理だと自覚するに至ったのです。

 彼女にとっては、かわいがってた初心者(テニス下手くそ)が離れていくのは理解できなかったかもしれません。けれど、束縛と支配に耐えられなくなり、私は離れました。誰とダブルスを組むかコントロール、練習相手にまで口を出されるだけでなく、彼女の一言でコーチとの関係にも亀裂が入りました。また、グループ内でも被害者面で私のことを何か言ったんだと思いますが、彼女の取り巻きにあからさまにぞんざいに扱われたこともショックではありました。

 そして、グループから離れて客観的に彼らを見ていて思ったことは、一人ひとりはいい人であっても、集団になると悪ノリやイジりがエスカレートし、小さなことでも大きく誇張したり、ネタにしたりするため、イジメのようなことが発生するということ。それは、私以外の人にも起こりました。悪意しかない行動を集団でやる。なんて愚かなんでしょう。

 各々は職業もしっかりしているし、インテリ?な人もいるのに、完全に彼女にうつつを抜かしているから、自分の目で見ていない、彼女の言いなりなんだということです。

 女から見ても彼女は魅力的だし、それはわかる。そういう選択も彼らの自由だからとやかく言うこともない。ただ、集団って愚かな面もあるんだと、生きてて初めて実感した一件でした。

小中高とグループに属したことがなく、未婚子なしの私はママ友もできることがなかったので、テニスで初めてグループに属してみたものの、合わなかったということです。離脱です。

これも、私がテニスから学んだこと。グループは個人の正常な判断を妨げ、人を馬鹿にする、グループの狂気ってあるんだということです。そういう空気のないグループももちろん存在しますが、取り巻きにはご用心!ということですかね。

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