#ラウール くんのTGCのパフォーマンスとMaybeの表現
今思えば、15歳の頃からそうだった。
ジャニーズのアイドルグループ・Snow Manのセンターを努めるラウールくん(現在19歳)は、中学3年生の冬にSnow Manに加入しました。
すぐに新生Snow Manが初めて座長を努める舞台『滝沢歌舞伎ZERO』の準備が始まったものの、ラウールくんは進学を控えた時期。
4月の京都公演は、ラウールくんを除く8人で行われました。
5月の東京公演から、1人遅れて舞台に参加することになったラウールくん。
V6の楽曲『Maybe』を深澤くんと阿部くんが歌い、そのメロディに合わせて佐久間くんとラウールくんがダンスを披露するという趣旨の演目に出演することになります。
ラウールくんのダンスは振付も少しあるものの、ほとんどは即興。
後に発売されたDVDのドキュメントでは、リハ場で小さく楽曲を歌いながら、歌詞とダンスの流れを一つひとつ確かめるように動いているラウールくんの姿が映っていました。
でもラウールくんが追い求めていたのは、考えた振りを正しく踊ることでも、観客に格好良い自分を見せることでもなく、恐らくは没入感。
リハ場ではなく新橋演舞場で衣装を着て、廻り続ける舞台装置の上でのリハーサルが始まると、しきりに上手くいかないと口にします。
そんな準備期間を経て、開幕した東京公演。
プライベートの変化も含めた当時の壮絶な舞台裏を自身が振り返ったweb記事が期間限定で無料公開されていますので、この機会にぜひ読んでみてください。
※2022/9/21まで
私はその当時、すの担(Snow Manのファン)ではありませんでした。
この作品を見たのは、先述した円盤を購入した時。
Snow Manが2020年にデビューした後、ステイホーム期間を経た7月末のことでした。
当時の感想tweetはこちら。
この『Maybe』という楽曲は、大切な人を失って心を閉ざしていた主人公が「君」と出会って少しずつ心を開こうとしているさまを主人公視点で歌った楽曲。
私が何より衝撃だったのは、ラウールくんは主人公や「君」など、登場人物になりきろうとしたのではないということ。
あくまでも私の主観的な推察ですが、ダンスとして楽曲のリズムは取りつつも、主人公の感情そのものになろうとしているのではと感じたんです。
絶望、葛藤、一筋の希望。
そういう類の目には見えないものを理解して体で表すのではなく、ただただ没入して感情そのものになろうとした、みたいな。
それはtweetに書いた通り、常人(私)には計り知れない感覚・感性でした。
さて、ようやく本題。
先日開催されたTGCで、19歳のラウールくんはYohji Yamamotoのコレクションを身に纏い、背中を向けてステージに現れました。
会場に流れ始めたのは、山本耀司氏がこのステージのためにアレンジした『ガラスの時代』という楽曲。
くるっと振り返った時、ラウールくんはこれまで私が見たことのない表情をしていました。
ステージの流れと私の主観的解釈はこちらにまとめてあるので、今回は割愛します。
ステージが終わった後の囲み取材の記事で、ラウールくんはこう語っています。
『ガラスの時代』は、誰かの言いなりに、何かを諦めて生きる人の姿を描写する歌詞から始まります。
周りに流されて生きる人の痛いところを突くような、皮肉めいた歌詞。
その歌詞を聴いても、ラウールくんの表情は変わりません。
私には、諦めているから気にしない、という風に見えていました。
ところが、耀司さんの呼びかけるような歌声とともに状況が一変します。
押し込めていた感情が剥き出しになり、ガラスの入れ物を壊して大きく一歩飛び出したラウールくんは、喜びに打ち震えるような恍惚の表情を浮かべて、足取り軽やかに踊り出します。
この一連のパフォーマンスもMaybe同様、主人公になりきるのではなく、主人公の感情そのものを身体表現で可視化しようとしているのでは、と感じたんです。
コンセプチュアルな題材とラウールくんが出会うとこんなに驚異的な化学反応が起きるのか。
そして、その表現の原点ともいえる演目を15歳で既に完成させていたのか。
と、どんどん遡ってタイムトリップが止まらない。
ほんと、興味が尽きない存在。
最高の推しです✨
さ、滝沢歌舞伎ZERO見ようっと。笑
以上です!