アメリカ連邦証拠規則(FRE) 608 証人の性格の信頼性又は非信頼性 A Witness’s Character for Truthfulness or Untruthfulness


FRE 608 A Witness’s Character for Truthfulness or Untruthfulness

証人の性格の信頼性又は非信頼性

(a) 評判または意見の証拠:証人の信頼性は、信頼できる若しくは信頼できない性格を有するという証人の評判に関する証言又はその性格に関する意見形式による証言によって、反証若しくは裏付けされることがある。なお、信頼できるという性格証拠は、証人の性格の信頼性が攻撃された後にのみ認められる。

(b) 行為の具体例:規則609に基づく刑事上の有罪判決を除き、外在的証拠(extrinsic evidence)は、証人の信頼性に係る性格を反証又は支持するために、証人の行為の具体的な事例を証明することは認められない。しかし、裁判所は、反対尋問において、以下の人々が証人の信頼性または非信頼性に対する性格を証明する場合、それらを照会することを許可することができる。

 (1) その証人(自分自身)又は

 (2) 反対尋問を受けている証人が既に性格について証言した他の証人。

別の事柄について証言することで、証人は、その信頼性に関する性格にのみ関係する証言に係る自供の特権を放棄することはない。

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※補足:用語

impeachment…証人の信用性を貶めること。英和辞書を引くと「弾劾」と出ることが多いが、証拠法の文脈では意味が異なる。

rehabilitation...上記の逆で、証人の信頼性を回復すること。

impeachment evidence…証人の信頼性が低いことを示す証拠。

substantive evidence…証人の信頼性はさておき、真実を証明しようとする証拠。substantive evidenceでありながらimpeachment evidenceであることもある。 

intrinsic evidence…既に発言した証人を更に問うことで得られる証拠。

extrinsic evidence…上とは反対に、新たに第三の証人を呼んで得られる証拠。

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性格証拠についてはFRE404、405において提出可能とされた。FRE608は、その場合の証人の信頼性に係る特則を示している。

反対尋問において、相手方が呼んできた証人に対して具体的な事実を聞くことはできる。「○○を知っていますか」とか「○○って言ったじゃないですか!」とか(まぁ当然である)。

しかし、その証人が信頼できない(又はできる)かを論ずるには、制限がある。第三の証人を呼んで、問題となっている証人の評判について述べさせることはできるが、その第三の証人は問題となっている証人の具体的な行動を法廷で挙げることはできないというものだ。例えば、相手方の専門家証人Aについて、こちら側はAの大学時代の知り合いのBを呼んで、「Aは嘘つきということで大学でも評判だった」ということを言わせることはできても、「Aは大学の数学の授業でカンニングして単位を没収されたことがあるんだ」といった具体的なことは言えない。

証人自身、又は証人自身が呼んだ第三の証人から、その証人の信頼性を述べさせる分には問題がない。上の例で言えば、証人A自身が「私は○○の雑誌で論文を出したことがある」とか、「私の信頼できる同僚Cを呼んだわ」と言って、Cに「Aはとても優秀な研究者で、この前もすごくいい論文を出したんだ」と言わせることは可能である。

この場合、第三の証人であるCを法廷に呼んだのなら、Cに対して反対尋問することが可能になる。つまり、その証人の性格証拠に関する議論の扉を開く(open-door)ことになるので、余計な人物を呼んできてしまうと共倒れになる可能性もある。

結局、どんな証人を呼ぶかが重要となるので、証人がどんな人物なのかの背景についてはよ〜く調べておく必要があるということだ。



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