サウナの設計にも金融システム開発にも通じるプロジェクトマネジメントの心得
はじめに
プロジェクトマネジメントは非常に身近な存在であるにもかかわらず、意識して学ぶ機会は意外と少ないと感じていました。
また、突然プロジェクトマネージャーとして任命されることがあり(それが明言されるかどうかは別として)、自分がそうであることも認識せずにいつの間にかプロジェクトがスタートしているということもあります。
これまで外資系投資銀行、スタートアップ、サウナの設計事務所を通じて業界初の取り組みで前例がないサービスや、数十人~百人規模のプロジェクト、企画からリリースまで数年以上かかり、その間に関わった人がほとんど退職するチャレンジングなプロジェクトまで様々なプロジェクトを担当してきました。
その中で業界や規模が異なっても基本となる考え方は変わらない事に気がつきました。
このnoteはこれからプロジェクトマネジメントをする人やいまプロジェクトが上手くいっていな人が読むともしかしたら役に立つかもしれない、実体験に基づいた物語です。
このnoteのまとめ
・プロジェクトマネジメントのポイントはゴールのイメージをチームメンバー全員で少しずつ擦り合わせること
・プロジェクトは意思決定の連続。意思決定をするためのプロセス(情報共有・相談・意思決定の場)を作ろう
・あなたがプロジェクトマネージャーです! メンバーのコミュニケーションを積極的にとりにいこう。諦めずゴールまで走り切ろう。
物語のはじまり
社長にサウナプロジェクトを任された
社長「福利厚生の一環として会社にサウナを作る!君にこのプロジェクトを任せた!」
わたし「サウナ・・・確かに社内にサウナ好きはいるけど。。とりあえず社内外に声をかけてプロジェクトメンバーを集めよう!」
ポイント
・福利厚生としてどんな施策を企画するか?を考えるのがプロダクトマネジメント
・サウナをつくるのに材料をどこで調達するか、予算はいくらか、誰がつくるか、いつまでにつくるか?を決めるのがプロジェクトマネジメント
プロジェクトのキックオフ
私は関係者を集めてミーティングを実施した。
わたし「みなさん!会社にサウナをつくります!宜しくお願いします!」
みんな「了解です!会社にサウナ!サいこうじゃないか!」
わたし(良かった。みんな快く引き受けてくれた。。しかし、今思うとこの時から間違いが始まっていたのかもしれない。わたしはみんなのことを少しも理解していなかった。)
ポイント
・同じ単語を聞いて同じことを考えているとは限らない。チームメンバーの頭の中を少しずつ揃えるのが大切。
・そのためにチームメンバーが持っている情報を集めよう。
プロセスを整理する
1週間後、社長がわたしのところにやってきた。
社長「どんなサウナか決まった?そろそろ企画書とか見られる?」
わたし「はい!サウナは昔ながらの遠赤外線ストーブのサウナにします!」
社長「え!遠赤外線?!なにそれ?!いつ決まったの?!」
ポイント
プロジェクトを任されたらプロセスを作ろう。プロセスとは
・情報共有の場(設計はx月x日までに終わります)
・相談の場(材料が不足していて期日に終わらなそうだけど、どうしよう)
・意思決定の場(サウナの広さはxxにします)
誰が意思決定をするのかを決める
これで勘違いは起きないはず。安心したその矢先、工事担当の島田さんから連絡が入った。
島田「材料チームがサウナにはヒノキを使うって言うんだけど、聞いてる?」
わたし(ヒノキ?今回は一般的なスプルースを使おうと話していたはず。一体何が。。)
わたしは材料チームの田中さんのところに駆けつけた。
田中「え?材料はヒノキって材料チームのミーティングで決まりましたよ。」
わたし「コストや工事チームにも影響するので相談して欲しかったです。。」
田中「材料のことだから決めて良いと思ったんだけどな!了解!」
ポイント
・どこまで誰が決められるのか?はプロセスを作りながら徐々にすり合わせる。チーム発足当初は慎重に決定する。
・特にQ(クオリティ)、C(コスト)、D(納期)に関わることはチーム全体で共有をしつつ進める
・プロジェクトは意思決定の連続。誰が、いつ、何を、どうやって、を常に意識して決定する。
「やらないこと」を決める
プロジェクトも順調に進み、ついに体験会!
わたし「見てください!これがわたし達が作ったサウナです!!」
社長はサウナを見て目を丸くした。
社長「水風呂は。。」
わたし「え。サウナを作れと言われたので水風呂までは。。本場のフィンランドでは水風呂はないと聞きますし。。」
社長「サウナには水風呂だろ!!」
遡ること数ヶ月前。。。
実は朝会で水風呂の件は話題にあがっていた。しかし、メンバー全員が今回はサウナなので、ということ、水風呂を作ると予算が足りなくなりそうだから、そして予算は相談しづらいという理由で水風呂は諦めていた。
ポイント
・作らないことを確認することを忘れない。少しでも気になったら確認する
・確認しやすいプロセス・環境をつくる
・確認しづらい内容をメンバーから吸い上げる
ゴールをきめる
サウナ・水風呂・外気浴、すべて揃ったサウナでプロジェクトメンバーも社長もしっかりととのった。
わたし「これでプロジェクト解散ですね!」
社長「いやいや、福利厚生なんだから社員に告知して使い方説明しないと!」
ポイント
プロジェクトのゴールを確認しよう
おわりに
ここではサウナのプロジェクトをベースに説明しましたが、サウナ以外のプロジェクトでも関係者が社外になっても規模が大きくなっても基本的な考え方は変わりません。実際のプロジェクトはそんなに単純ではないですが、課題を分解するとここで説明した基本的なことが問題となっていることが多いです。
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