30番「タオルたたみ」(午前)
フェリシーは毎日の洗い物が多い。メイド長の以前勤めていたメイドリフレクソロジィのお店では洗い物は外部委託をしており、業者任せであったと話を聞いたことがある。しかし、フェリシーが元々は民家であることもあり洗濯機や脱衣所が備わっていることから、外部委託するのではなく店内で洗濯機を回すことにしているのである。
アカリ「はー、タオル多いよぉぉ」
今日の私は早番なのだが、今日はいつにもましてタオルの量が多い。タオルは基本的に小さいものならば四つ折りにしてたたみ、バスタオルのように長い物は両の手で持ち運びやすいくらいの大きさまでたたむ。
タオルをたたむ作業中は先輩メイドといる時には談笑しながらやれるため楽しくできるのだが、あいにく今は私一人だ。
ふと私は床に何か落ちていることに気づく。なんだろう。
アカリ「こんなところに定規がおちてる」
誰かがしまい忘れて落としたものなのだろうか。私はもとの場所に戻そうとした。
アカリ「あれ、定規ってどこにいれるんだっけ」
定規自体はお店のチラシやメニューを切る際に真っ直ぐに切るために使うことがおおい。
アカリ「ん? もしかして?」
私は閃いた。洗濯物を畳むとは、すなわち真っ直ぐにすること。だったら・・・
もこ「( ´Д`)=3 フゥ ごめんねぇぇ。電車が遅延してて遅くなっちゃった。昨日はタオル大量にあったよね? 手伝うよ」
もこさんが満員電車にでも乗ってきたのだろうか。疲れたお顔をして、来てくれた。
アカリ「いえ♪ もう終わりましたよっ」
もこ「え!? どゆこと!?」
アカリ「えっへん♪」
私はルーチンワークであったタオルたたみを”遊び”へと変えたのである。
辺りにある薄くて固い本でタオルを真っ直ぐになるよう本の背を当てて、タオルをたたむ手法に変えた。最初はどの本がいいか等少し戸惑ったものの慣れてくるとこちらの方が早かっただけだ。