コミュ障の私が”ひとりごと”を3ヶ月練習してみた結果
「あの..えっと、それは、P3の資料に書いてあるデータが。いや、ちが..」
ダメだ。
せっかく資料づくりを頑張ってもうまく説明できない。
質疑応答なんて悲惨。
質問に対して、なんでもいいから返すだけで精一杯。
結論は全くちがうところに着地。
私はコミュ障だ。
具体的には、上記のような問題があった。
コミュニケーションやプレゼンの本を読んでみても全然改善しない。
よく「相手に質問されたら、そっくりそのまま復唱。その間に情報を整理し、回答を考えればいい」と言う人がいる。
しかし、復唱するときは復唱することに集中している。
そもそも考えられない。
使えないノウハウや知識ばかりが増えていた。
そんなとき、何かヒントがあるかもしれないと職場の人を観察して気づいたことがあった。
それは、話が上手い人はひとりごとが多いということだ。
ここでいう話が上手い人は、論理的に話の筋道をたてて話せる人。
全員の意見を結論に導ける人。
陽キャで誰とでもすぐ仲良くなれる人とは別。
私はひとりごとにネガティブな印象を持っていた。
「授業中は静かにしなさい」と小学生時代から言われ続けた結果だ。
しかし、ためしに意識的にひとりごとを言ってみることにした。
そして3ヶ月が経った。
軽い気持ちではじめたが、想像以上の効果があったので実験結果をまとめてみる。
”ひとりごと”の練習をはじめて気づいた3つの変化
ひとりごとの練習といっても、何からはじめていいか、わからなかった。
まずは、思いついたことを小声で口に出してみる。
例えば
「今日の予定は〇〇で、はじめに□□をして..」という考えの流れ。
「めっちゃキレイ!美味しそう!」という感情の動き。
2週間たったころ、自分の変化に気づいた。
沈黙がなくなった
発言の瞬発力がついた
話すことにビビらなくなった
それぞれについて解説する。
1. 沈黙がなくなった
最初に気づいた変化は、沈黙がなくなったこと。
何か話をふられたり、質問されたとき、言葉が出てこないのが悩みだった。
そのときの頭の中は以下のとおり。
質問の内容を理解する
自分の中で情報を整理する
自分の中で結論を出す
回答する
4をするまで、一言も話さなかったため沈黙が生まれてテンポが悪くなっていた。
ひとりごとの練習では、1〜4の流れを全て口に出していた。
相手がいる場合でも、小声で話す。
小声というところがポイント。
今、ちゃんと考えているということのアピールになり、結論が出るまで待ってくれるのだ。
もちろん、待っている間も話し続けているので沈黙にはならない。
2. 発言の瞬発力がついた
相手がパッと言った言葉に反応してすぐに自分が返答していることに驚いた。
そもそも、パッとでた言葉は意味のない雑談だったりする。
それに対して気が利いたことを返さないといけないと、ハードルを上げていた。
しかし、なんでもかんでも、ひとりごととして発言していたことで”てきとうな返事”ができるようになっていた。
また、感情を伝えるのに速さが大切なことにも気づいた。
相手に感想をきかれてから話すのでは遅すぎるのだ。
感じた瞬間に言葉にする。
ポジティブな感情ほど、早く口に出すことで周りもポジティブになるのには驚いた。
3. 話すことにビビらなくなった
なぜ、話す直前にビビってしまうのか、緊張してしまうのか。
それは”話すこと”を特別な行動としてとらえているからだ。
話すのが苦手な人ほど”口を動かす”ことに必死になる。
必死になるほど”考えること”を忘れてしまい、支離滅裂な文脈になってしまうのだ。
このことに気づいている人は少ない。
とにかく、口を動かすことが無意識になるまで、ひとりごとを練習するのは大切だと思う。
”ひとりごと”の3つの副作用
話すのが苦手な自分を変えたくてはじめたひとりごとの練習。
意外な副作用があった。
マインドフルネス的な効果
深く考えることができる
自分の理解度をアピールできる
1. マインドフルネス的な効果
「今、ここに集中する」練習、マインドフルネス。
数年前から、集中力向上のために実践している人も増えた。
仕事をしていると、メールにチャット、電話など集中が途切れることが多い。
多くの仕事を同時進行させなければならず、目の前の仕事をやっていても、他の仕事を思い出すたびに集中が切れてしまう。
そんなとき、自分がやっている仕事を口に出す。
離れていきそうになった意識を目の前の仕事に戻すことができるのだ。
ただ自分の行動を言葉にするだけなのに、集中力が上がったのでダマされたと思ってまねしてもらいたい。
2. 深く考えることができる
何か考えごとをするとき、深掘りするために「なぜ?」を意識する人は多い。
しかし、なぜ?の質問を浅いところで止めてしまった経験はないだろうか?
私も後から指摘されて気づき、悔しい思いをよくする。
今回、ひとりごとの練習中に「その結論にたどりついたのはなぜ?」と言葉にしてみた。
それをきっかけにどんどん自分で自分に質問する。
不思議なことに、第三者の視点で考えられるようになり、どんどん深堀りできた。
3. 自分の理解度をアピールできる
説明されているときも、ひとりごとを続けてみた。
内容を理解し、納得しているときは「ふむふむ」や「なるほど」のようにあいづちをうったり、「つまり○○ということか」と要約していた。
あるとき会議終了後、声をかけられた。
「ちゃんはまさんの、あいづちがあるおかげで話しやすいです。ありがとうございます」と。
シーンとした雰囲気での会議が多かった。
そうすると話し手は、相手が理解しているのかわからず不安になる。
あいづちの代わりにうなずく人もいたが、必死に説明しているときは音として聞こえたほうが安心するのだとか。
逆に、理解が追い付かないときや質問があるときは「あれ?」とか「○○ってことで合っているのか?」とつぶやいていた。
小さくつぶやくのがポイントのようで、話をさえぎらずに話し手に「補足説明が欲しい」ということを伝えることができた。
”ひとりごと”のデメリット
今回説明したように、3つの変化と3つの副作用には驚いた。
自分の成長も実感したし、周りの雰囲気もよくなった…….
と思っていたのだが、現在、私はひとりごとをやめている。
なぜかというと、思ったことすべてがダダ洩れしてしまうようになったからだ。
普通は「こういうこと言ったら、相手が傷つくだろうな」と考えて余計なことは言わない。
しかし、思いついたことをすべて言葉にするようになったことで、ネガティブな発言も止まらない。
まるで破れてしまったフィルタのように何でも通過してしまう。
現在、フィルタの修理中。
しかし、これがなかなか治らない..
この記事を読んでいる方には、ずっとひとりごとをいうのではなく、時と場合を考えながら使ってみてほしい。
その制御をしながら練習すればひとりごとは武器になると思う。
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