
ジュニア育成のためのテニスコート考察Vol.3 「ハードコートがない!?の真の原因」の確認
皆さん、こんにちは。
「Change Court」記者のtakableです。
この記事では、日本のサーフェス(テニスコートの種類)とジュニア育成の関係性について調べていきます。(2022.3.23現在)
※記事をより簡単に読んでいただくため表記に独自のルールを利用しています。
今回の記事は、Twitterで繋がらせていただいた、「九州のパパさん」より「九州各地にハードコートを作りたい」、「九州にハードコートがない!」、「デコターフのハードコートを…!」という声を伺いました。
そこで、今回は日本のテニスコート事情を一緒に確認しながら、下記3点を考察します。
・九州だけではなく日本にハードコートが少ない?
・日本育ちの子どもが将来、世界No1やGSタイトルを獲得するために、ジュニア育成に適したサーフェスはどのサーフェス?
・その他、サーフェスについての課題や解決策は?
先の記事、ジュニア育成のためのテニスコート考察Vol.2 「問題」の確認より、「4地区のハードコートで大会が開催されない理由」を探ることで、「ハードコートがない!?の真の原因」をみなさんと一緒に確認していきます。
4地区から細分化!
4地区の関東、北信越、東海、九州を地図で確認します。本州ど真ん中の3地区と九州では地区大会でハードコートを利用していませんでした。
この4地区のハードコート事情を確認します。4地区の平均ハードコート面数を確認するために、1地区あたりの平均ハードコート面数を算出しました。関東82.6面、東海20.8面に対して北信越9.8面と九州8.75面平均でした。
上記の算出の結果、北信越と九州の2地区にはハードコートが少ないことが確認できました。その中でも、北信越では福井県19面、九州では福岡県34面・鹿児島県22面の3県にハードコートが多いことに気が付きました。この3県のコート事情は下記表でした。
福井県と鹿児島県は同一施設に16面以上デコターフが利用されており、その背景には、「国体開催」が関係していることがわかりました。
下記は、デコターフのトピックから抜粋した文章です。これにより、国体開催がコートの改修チャンスだと考えることができます。
・福井県
2018年福井しあわせ元気国体の硬式テニス競技会場となる福井県営テニス場16面がデコターフで改修されました。国体開催にとどまらず国際大会の誘致や世界基準コートでのプレイはジュニアプレーヤーを始め多くのプレーヤーに世界のテニスに接する施設として活用される事でしょう。
・鹿児島県
2020年東京オリンピックの開催と同じ年に開催される、かごしま国体のテニス競技会場として鹿児島県立鴨池庭球場が2018年2月に完成しました。オリンピックなど世界的な競技施設に実績のある高品質Decoturfが採用されています。
国体開催地のサーフェス事情
「過去10年の国体開催地」と「今後の国体開催地」を分けて国体の開催地のサーフェスを確認します。
・過去10年の国体開催地
2020年鹿児島、2021年三重の国体はCOVID-19の影響で中止になりました(鹿児島は2023年に開催予定)。
・今後の国体開催地
・国体開催過去10年間+今後開催の5年間の合計数(施設・コート面数)
施設数、サーフェスの面数共にオムニは75%以上で、ハードは25%以下でした。ハードが適用されているのは100%の確率で少年男女に割り当てられています(2017・2021年三重年愛媛は全種目)。
しかしながら、今後の開催に対してはハードは鹿児島の1施設16コートのみで、開催予定地が確定している2026年青森国体までは全種目オムニでの開催が決まっています。
「なぜ、オムニが好まれて大会で利用されているのか?」地区大会だけではなく、国体でもオムニが利用される理由を調べることで、「ハードコートで大会が開催されない真の原因」を確認していきます。
ハードコートで大会が開催されない理由
真の原因を確認するために、施設、プレイヤー、コーチ・指導者の3つの側面からオムニの選択理由を探ります。今回は伊達公子さんの著書「コートサーフェス研究 砂入り人工芝ではトップテニスプレイヤーは育たない」(以下、伊達さん著書)を参考に、オムニを選択する理由を確認します。
伊達さんの著書の統計をCCでアレンジして解析しました。その結果、オムニの選択理由が下記の表で算出しました。オムニ選択の理由は、「身体の負担」、「天候を考慮」、「利用者の要望」の3つが多いことが確認できました。この3つを今後、「オムニ3メリット」と総称します。
下記には、オムニ3メリットをそれぞれ色分けして表にしました。身体の負担は「緑」、天候を考慮は「赤」、利用者からの要望は「青」で印をつけました。
・施設
※選択理由「わからない」が3番目で14.1%というのは、残念です…。
・プレイヤー
・コーチ・指導者
上記の表を確認することで、オムニを利用利している理由の結論は、”天候と身体の影響が少ないのは「オムニ」だから利用している。”です。
真の原因は?
オムニ3メリットが理解できましたが、「ハードコートがない!?の真の原因」までは、突き詰めていません。
伊達さんの著書より、ハードコートに移行しない理由が記載されていました。「ハードコートがない!?の真の原因」を確認します。下記の3つの団体や施設がオムニを選択する理由です。
施設
・日本テニス協会がオムニを推奨していた時代があった
・天候に左右されない施設の効率重視
・メンテナンスが簡易で費用が安い
大会運営
・多少の雨でもプレーできることで大会期間中に全ての試合が開催できる
自治体
・医学的に根拠はないが、足腰に良いとされるための中高年の生涯スポーツの場としてふさわしい
・東京都の中学・高校生の大会ではオムニの方が稼働率が高い
※上記の自治体は、東京都の例になりますが、2020東京オリンピック開催のために改修された、有明テニスの森公園のハードコート32面がオリンピック終了後16面をオムニに再改修する際の都知事の意見です。
上記の理由により、 「ハードコートがない!?の真の原因」の結論は、オムニ3メリットが強力だからです。
「そんなの考察やる前からわかってるよー!何が真の原因だー!」、「そりゃオムニ3メリットはいい点しかないでしょー!」、「確かに、オムニ3メリット凄すぎるー!」と思われると思います。
ただ、このオムニ3メリット「身体の負担」、「天候を考慮」、「利用者の要望」は本当にメリットなのでしょうか?
施設のオムニ選択理由で「わからない」の回答が3番目に多く14.1%、東京都が「医学的な根拠はないが足腰に良いとされる」、オムニの方が稼働率が高い。これらって本当何でしょうか?
皆さんの感覚的なことや、プレーヤー、コーチ・指導者が「慣れているから」という理由でオムニを選択しているように、「慣れ=良い」という式が完成しているケースは危ういのではないでしょうか?
次回の記事では、このオムニ3メリットをハードコートと比較(対比)して確認することで、両方のコートに対する「概念」をみなさんと一緒に確認していきます。
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〜CC(Change Court)について〜
CCは、テニスのジュニア育成に関する問題や課題を解決していくための考察記事です。
「うちの地区こんな問題があるんですが…」、「これは正しいのかなぁ!?」、「これってどうしたらいいでしょうか?」そんなテニスのジュニア育成に関する悩みや課題を解決できるきっかけを皆さんと一緒に考察します。
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