夏が終わりに近づいている
先日の台風で暑くなったり涼しくなったり風向きが変わったり雨が降ったり、少し天気に変動があった。交通機関も止まるということで仕事も在宅勤務に切り替わり、意図せずゆったりとした日々を過ごせていた。
台風騒動の日の金曜日、結局ニュースで予報されていたほどの暴風雨にはならず終始落ち着いた日だった。その夜、ベランダに出てみると懐かしい雰囲気があった。こんな夏が猛暑になってしまう前の、かつての涼しい夏の夜。風鈴と蚊取り線香と線香花火が似合いそうな夜。日中の湿気と熱気をさらりと流してくれるような、そして同時に秋の訪れを予感させる涼しい風。キャンプチェアとビールを用意してベランダに出た。
そしてそのビールのなんと美味しいこと。というよりかは、「涼しい風の吹く夏の夜にベランダでビールを飲む」という行為のなんたる至福。隣家に迷惑にならないように流した音楽は、恥ずかしながらも自作のspotifyのプレイスリスト。”夏の終わりに聴きたい”10曲50分、我ながら良いリストだと思っている。
週末、夕方にドライブをした。246から129、そして134という個人的鉄板ルート。もう冷房はいらない、少し汗ばむけど窓を開けて走らせるのがとても心地いい。こんな夏がずっと続くわけはないのだけれど、遊園地でもう一回もう一回と悪あがきする少年の気持ちをまだ自分の中にはっきりと感じることができる。こんな夏がずっと続くといいのに。
湿気のある空気だったせいか、遥か遠くの山々は霞んで見える。そしてその稜線に沈む夕焼けは、オレンジやピンクやホワイトの絵の具を水面に垂らした後のように柔らかく広々と陽光を広げており、太陽の丸い形をサングラス越しにはっきりと見ることができた。そして、分厚い雲が太陽に覆い被さる。
「夏が終わりに近づいている」
そう感じた瞬間だった。毎年夏が終わる時に感じる空気、雰囲気、夕焼けを一気に感じた気がした。その夕焼けを左手に、帰路へと車を走らせる。いろいろな思いが心を巡る。もうすぐ夏が終わる。やり残した事はないか。
前述のプレイリスト、1曲目に選んだのはミスチルの「君がいた夏」だった。その歌詞がリフレインする。
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