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もしも、こんな奴がいたら【第19話 聞かせてくれよ】

旧友を見かけた日。色々なことを思ったサクラに会いに行った。

息を吸い込むと、肺が氷ってしまいそうな空気の朝。車を走らせていたサクラは1人の女の子とすれ違った。女の子は、革のブーツにショートパンツ、金髪のロングヘアーにブランドのバッグを持ち、何もない田舎道を歩いていた。隣には、お母さんと思われる人がいて、泣きながら彼女の後ろを歩いていた。


二人とすれ違った時、彼女と彼女の母親から懐かしい面影を感じた。レミちゃんだった。彼女は、サクラの小学生の時の同級生。犬が好きで穏やかな子だった。もともと、お洒落が好きな子だったから、大人になってからの服装は想像通りだった。


てっきり上京したり、地元を離れたりしていると思っていたから、近所で姿を見られるとは思ってもいなかった。本当は声を掛けたかったけれど、あまりにも突然で、仕事前ということもあって、話しかけることはできなかった。


お母さんが泣いていたんだ。何があったんだろう。レミちゃんが地元に帰ってきていて、しかもお母さんと歩いていて。

話しならいくらでも聞くよ。聞かせてくれよ。レミちゃん。何か事件に巻き込まれたのかな?まさか巻き込んだ方じゃないよね?


レミちゃんみたいな人は、きっと沢山いる。そういう人たちの話しを聞いてあげられないかな。サクラはそう思った。

サクラは決めた。聞くんだと。聴くんだと。


でも、どうやって聞こうか。どうやったら自然に聴いてあげられるだろうか。そう思った時。真っ先に浮かんだのが、バーだった。バーなら自然体で話せるのではないだろうか。

冬の空気を全身で感じながら、サクラは誓った。バーで色々な人の相談相手になれるママになろうと。


あなたにも、あなたを見守る妖精がいます。きっと、今日もあなたを見守っているはずです。


いつか、あなたに届きますように。


そして、あなたの素晴らしさが世界中のみんなに伝わりますように。



私の心の陽射しへ感謝を込めて。


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