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もしも、こんな奴がいたら【第11話 逢】

迷うサクラに会いに行った。人気者が好きなのか。優しい人が好きなのか。あなただから好きなのか。サクラはその答えを見つけられるかな。


サクラは繁華街の夜道を、ただただ歩いていた。考えても答えなど出ないことを考えながら。


幸せとは何か。人々は何を幸せなことだと思うのか。結婚することを幸せと呼ぶ人。美味しい物を食べることを幸せと呼ぶ人。サクラにとっての幸せと、横を通り過ぎていく人々の幸せは、きっと違う。けれど、皆それぞれの幸せを求めて生きている。


賑やかな1台のバスがサクラの目の前を横切った。沢山の若い男女が爆音の音楽がかかったバスに乗っていた。クラブみたいなのをバスでやっていた。あぁ、色んな世界があるのだなと思った。


「人たらし代表」のような男に会った。会ったというか、会いに行ったのだ。あなたへの想いの答え合わせをするために。


人たらし代表の彼のことを、"みたらし団子"と呼ぼう。みたらし団子は、決して悪い人ではない。ただ、サクラの思う優しさは持ち合わせていない人だった。みたらし団子は、大衆酒場のマスターをしていた。とうに三十路を過ぎて四十路が近付いているのに、女子大学生にモテるような人だった。


毎日のように、その酒場に通う女性たち。社会人の方もいれば、大学生の方もいて、たまに主婦の方も訪れていた。そんなに魅力のある人なのかと気になり、話してみたけれど、サクラには全く魅力は感じられなかった。真面目な方なのか、質問に正直に答えてくれる人だった。恋愛の話題になっても期待させるようなことも言わなかった。ただただ、優しい言葉を言った。たぶん、みたらし団子が好かれる理由は、そこにあるんだと思った。きっと酒場に通う常連の女性たちは、そんなみたらし団子と会うことに幸せを感じているのだろう。あぁ、色んな形の幸せがあるんだな。


でも、サクラは幸せではなかった。みたらし団子の優しさは、サクラの求める優しさではなかったから。


何をもって優しさというのか。今までサクラは、優しい人は皆好きになれると思っていた。けれど、好きになる理由には不十分すぎた。2時間もいなかったから、お会計は2150円だった。値段は手頃だった。


サクラは、人と関わる時には、必ず学びを得るようにしている。今日は、みたらし団子から学ぶことができた。だから、あの2150円にはそれ以上の価値があった。ありがとう。


~帰り道~


渋谷の夜道は平日の夜でも賑やかで華やかだ。
色々なことが頭を駆け巡る。ただただ歩く。
サクラにとっては、とても意味のある時間だ。


人生の大きな出来事の8割は、35歳までに起こると言われている。この夜も、その8割の一部となったはずだ。


そして、探していた答えが見つかった。それは、「人気者だから好きな訳ではない」という答え。当たり前の答えだが、答え合わせができた。


サクラが大好きなその人は、みたらし団子と同じくらいの人気者。だから、この答えが出て安心した。愛しているんだ。


また一つ階段を上り成長したサクラを見て、安心したよ。きっと大丈夫。




あなたにも、あなたを見守る妖精がいます。きっと、今日もあなたを見守っているはずです。


いつか、あなたに届きますように。

そして、あなたの素晴らしさが世界中のみんなに伝わりますように。


私の心の陽射しへ感謝を込めて。



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