もしも、こんな奴がいたら【第21話 羽の生えたチワワ】
若き日のサクラは、多くの人の死を目にして、人以外の死を思い出してしまった。今日は、サクラの亡き弟の話をしようか。
サクラには弟がいた。弟とはいっても、人ではなくて犬。犬種はチワワ。名前は「マッキー」と言った。
マッキーは、おばあちゃんが飼っていた。サクラはおばあちゃんの家に行った時には、必ずマッキーと遊んでいた。ご飯も一緒に食べたし、散歩もした。お昼寝も一緒だった。受験勉強も見守ってくれてたな。
マッキーはヒーロー
おばあちゃんがトイレで倒れた時、マッキーはトイレに向かって吠え続けた。マッキーがあまりにもうるさくて、近所に住むおじさんが、すぐに助けにきてくれた。おばあちゃんは助かった。マッキーはスーパーヒーローなんだ。
マッキーは神様
サクラの大学受験の日。サクラは不安でいっぱいだった。この大学に入れば、沢山の資格を取ることができて、小さな頃からの夢だった保育士や幼稚園の先生の免許も取れる。家が貧乏だったから、奨学金を借りることすら不安が大きすぎて、借りられなかった。決められた予算の範囲で、一番条件の良い大学を目指した。落ちたら工場かどこかへ就職する。保育士や幼稚園の先生にはなれない。仕方がない。やるしかない。
無事合格
サクラは涙を流して喜んだ。両親に結果を伝えると、サクラはおばあちゃんの家へ急いだ。おばあちゃんとマッキーにも伝えたかった。
サクラ:「おばあちゃん!マッキー!合格したよ!」
おばあちゃん:「おめでとう!」
サクラ:「ありがとう!マッキーいる?」
おばあちゃん:「、、、」
サクラ「、、、マッキーどこ?」
おばあちゃん:「サクラが心配すると思ってね、伝えていなかったけれど、サクラの受験の日に、死んでしまったの。」
サクラ:「え、、、」
マッキーはもう、この世にはいないと知った。ショックだった。悲しかった。
けれど、なぜかサクラは不思議な気持ちになった。なんだかマッキーが神様になってくれたような気がして。受験の神様になってくれたような気がして。サクラは心の中で、マッキーにそっと「ありがとう。」と言った。
犬には羽は生えていないけれど、マッキーなら天国へ行く時、羽が生えちゃいそうだな。神様みたいにピカピカ輝きながら天国へ行ったのかな。マッキー、ずっとずっと大好きだよ。ありがとう。マッキーのおかげでサクラは立派な大人になれたよ。
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あなたにも、あなたを見守る妖精がいます。きっと、今日もあなたを見守っているはずです。
いつか、あなたに届きますように。
そして、あなたの素晴らしさが世界中のみんなに伝わりますように。
私の心の陽射しへ感謝を込めて。