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もしも、こんな奴がいたら【第17話 味方は静かに側にいる】
挑戦するサクラに会いに行った。
サクラは、ずっと一人だと思っていた。笑うことが好きで、笑わせることも好きで。趣味がたくさんあって。ただ、近くに同じ目標を持つ人がいないんだ。味方がいない。
でも、違ったよ。味方はいた。
サクラは、ある検定を受けた。地元の本屋さんにはテキストや問題集が売っていなくて、普段は通販なんて利用しないのに、通販でテキストと問題集を買って勉強した。サクラの周りには、同じ検定を受ける人なんて一人もいなくて、不安だった。そんな資格、持っていたって保育士のサクラがいつ使うんだよ。もし誰かに話したら、そう言われそうな気がしていた。テキストと問題集だけが味方だと思っていた。
検定当日。
商店街を真っ直ぐ歩いた突き当たりに会場があった。会場に近付くにつれ、サクラと同じ方向へ歩く人が沢山いることに気がついた。
会場へ着くと、想像の3倍くらいの人がいて本当に驚いた。学生世代の人も多かったけれど、マダムも何人もいた。
試験前、テキストの赤い文字を何度も読み返して最後の確認をしていた。隣の女の子も、向かいのマダムも後ろの男性もみんな。
あの時は、緊張していて試験のことしか考えられなかった。けれど、今になってあの光景を思い出すと、涙が出るほど嬉しい。同じ目標を持つ人の側にいられるだけで、こんなにも安心するのか。
後日、資格の結果通知が届いた。結果は合格。
保育士の激務を乗り越えながら、約半年間。頑張って勉強した努力が実った。言葉にできない達成感。結果も嬉しかったけれど、やはり同じ目標を持つ人の存在を知れたのが一番よかった。
自分のやりたいことを生かして、人々の笑顔を増やしたい。そんなサクラの願いが叶うきっかけになったらいいな。いや、なるんだよ。この検定だけじゃなくて、他にも沢山のことをしてさ。また一段と輝いて見えるよ。サクラ。
あなたにも、あなたを見守る妖精がいます。きっと、今日もあなたを見守っているはずです。
いつか、あなたに届きますように。
そして、あなたの素晴らしさが世界中のみんなに伝わりますように。
私の心の陽射しへ感謝を込めて。