スペイン旅行(2)
サンクス・ギビングパーティを終えて、いよいよスペインへ。
カーボベルデから昼便で、リズボンへ。すぐに乗り換えて、マドリードへ。
飛行機から降りた瞬間に感じる、風の冷たさ。
わー。冬だ。(当たり前だ)
周りを見回すと、半袖を着ているのは、我が家の4人だけ。
マドリード空港到着は23:30。
今回の旅は車旅。空港で、レンタカーを予約していたのだが、お店が閉まるのはなんと24:00。
こういう時に限って、ベビーカーの受け取り場所が見つからなくて、てんやわんや。
時差は2時間なので、体感時間としては22:00。ちょっと遅いけれど、移動で起きていたたろうとだんなチームは、先にレンタカー屋を目指してダッシュ。私とじろうは、スーツケースとベビーカーを受け取ってのんびりと。
今回は10日間の旅程だけれども、スーツケースは家族で1つ。片側は2人のおむつを詰め、もう片側に詰められるだけの洋服などを。
車旅なので、チャイルドシートは2つ。うち1つは、ベビーカーにつけられるもの。ヨーロッパなので、きっと車は小さいだろうということと、荷物はいつだって少ない方が楽に決まっている。それから、予約したAirbnb3箇所全てに洗濯機がついていたことと、全てでベビーベッドが借りられたことは荷物を減らす上で大きかった。
Airbnb、子連れ旅行には超おすすめ。
シンデレラ並みにギリギリだったけれど、無事に車を受け取り、いざマドリード市内のAirbnbへ。
マドリードではこの日と翌日の2泊。
市内にいる分には車は全く必要ないので、2泊した後に車を借りるということでもよかったけれど、夜遅くに到着するので、(潜在的には泣き喚いているかもしれなかった2人と)荷物を持ってタクシーや電車で移動するよりも良いだろうということと、どうせマドリード空港に帰ってくる予定だったので、ここで借りることに。
車のレンタル料金は安くてびっくりだったけれど、駐車料金はまあまあ。都心にしては安いのかなというくらい。ただし、少しのお金で利便性が買えるのであれば、それは投資。
ただ、市内が予想以上に入り組んでいて、宿泊予定のAirbnbと、近くの駐車場になかなか辿りつけず、細い道を運転するのは少し大変だったよう。だんな、アメリカ人なので、だだっ広い道と大きい車に慣れすぎている。
(でも、レンタカーをこの日から借りると決めた張本人は、この決定がいかに正しかったかを何度も力説していた。)
さすがはヨーロッパ。すでに街並みから歴史を感じる。
疲れているはずなのに、興奮で寝られない。
それもまた旅行。
今回のスペイン旅行、ただの家族旅行というだけでなく、実はビックサプライズが2つ。
一つ目は、朝起きられない従兄弟の弟、三兄弟の三男坊とマドリードで合流する予定だったこと。
わたしとは10歳も年が離れている三男坊。私の母と叔母の仲が良いので、5歳下の長男坊とは、小さい頃いつも一緒にいた記憶がある。けれども、さすがに10歳も年が離れるとそんなことはなく、ある日突然海の向こうから聞こえてきたのは、「大学留年したらしいよ」との断片的な情報。
地理的な距離が離れてしまうと、家族のゴシップ話にどうしても疎くなる。それでも、例えば、「自転車でこけて歯が折れた」とか、「自転車でこけて目の上を縫った」だとか、彼のそういったニュースは耳にしていた。
私の家族、とても個性が豊かなので、大学を留年したくらいでは大ごとにならない。
そして私は、「留年したなら、秋学期休学して、カーボベルデ遊びに来たらいいじゃん。」とか言ったらしい。
そうしたら本当に来るのだという。
ただ、海外旅行は修学旅行の台湾以来二度目とかいうので、さすがにいきなりカーボベルデはハードルが高いのではないかと言い出したこちらが不安になり、マドリードで落ち合うことに。
私も親になり、歳を取ったのだろう。落ち合ってみたら、別に一人でも全然平気だったのではないかと、心配して損をした気分に。
時代は2023年。e-simだってあるし。私がバックパッカーをしていた頃よりもずっと旅行はしやすいはず。
そして、やはり留年はしたらしいけれど、しっかりしている。
二つ目は、ロンドンに駐在中の幼馴染と会うこと。
私は、長野県の小さな町の出身なので、自分でもよくもまあ世界の端までやってきて、生活をしているなあと思うことがある。今では英語もそこそこ話せるようになったけれど、家族の中に英語が堪能な人がいたわけでもなければ、家族で海外旅行の経験だってない。
だんなを連れて里帰りをすれば、ご近所さんはどよめいてしまう。
そんな小さな町に生まれ育ったわけだから、まさか小学校の同級生とマドリードで会うことができるなんて、自分たちでさえ不思議で仕方ない。
だって、小学校のとき、どちらかが休んだら、連絡ノートと給食のコッペパンを持って行ってあげていたような距離に住んでいたのだもの。
そんなわけで、マドリードでは、ふらふらと街歩き。主要な観光地を回った後はひたすらバー巡り。子連れ旅行なので、美術館は全てパス。大きな公園があったり、ただ歩き回るだけでも楽しい。
そして、夜はだんなに子供を預けて、女子会 in マドリード。ワイン片手に色々な話をして、優雅で贅沢な時間だった。
3日目は、グラナダへの移動日。子連れ旅なので、大都市マドリードは丸一日でいいだろうと計算。朝一番にチェックアウトをして、トレドに途中下車。マドリードからトレドは車で1時間ほど。
今回時差はたったの2時間。旅程は10日間だったので、子供たちはカーボベルデ時間を保ったまま生活させることに。なので、朝一番といっても、出発は10時頃。大人は時差に適応してしまうので、朝9時まで寝られるなんてボーナス。
ただ、前夜の女子会が楽しすぎたため、疲れが出たのか眠たい私。道中残りわずかのところで事件が発生。
目的地は調べてきたのだけれど、車を停める場所を見てこなかった。
だんな、ヨーロッパでの運転につき、駐車場探しの任務を私に押し付け。
私、朝一番で元気なたろうの相手をしながら、じろうにミルクを飲ませながら、遂行できるわけがない。そもそも、私は方向音痴。
そこで、強行突破をしたのが余計にいけなかった。
街に入れば入るほど、道は入り組み、細く、迷路状態。
そして、この最悪のタイミングで、発せられた四文字からなる一語。
エム・アイ・エル・ケー。ミルク。
たろうは気がついてしまった。今日、まだミルクを飲んでいなかったことを…。
そこからは、ミルクが欲しい欲しいと雄叫びが。
叫びたいのは私だよ。
の瞬間、たろうと私、突然車から降ろされる。
観光地で突如はじまった、母と子ミルク探しの旅。
藁をもすがる思いでコンビニのような謎のお店に入り、ミルクを探す。
人間というものは、ピンチの時に隠れた力を発揮するので、ここ一番とポルトガル語が出てくる。
スペイン語とポルトガル語はよく似ているので、助かった。
小さいミルクは売っていなかったけれども、2Lのミルクを確保。
海外旅行をするにも、最近は現金をわざわざ持たない。支払いはクレジットカード。
「手数料3ユーロかかるよ」とレジのおばちゃん。
「構いません!!!!」
よくよく考えるとすごく高くついたけれど、おばちゃん、お店に牛乳置いておいてくれてありがとう。
たろう、白ひげを作りながら、超高級ミルクを2Lパックからそのまま飲みご満悦。
無事に駐車を完了しただんなとじろうとも合流し、街歩き。
滞在時間はわずかだったけれど、ぐるぐる迷路のトレドを散策。
車旅だからこそできる、ちょっとした寄り道。
ハプニングもつきものだけれど、古都トレド、素敵でした。(続く)