バロメーターは、冷凍ごはん
人と暮らしていたときは当たり前だったのに、ひとりになった途端、ぷつっと糸が切れたようにできなくなることがある。
たとえばそれは、朝コーヒーをドリップすることだったり、「いってきます、ただいま」や「いただきます、ごちそうさま」、ごはんを作ること、夜お風呂に入ること、ちゃんと布団で寝ること、だったりするのだけれど、
あらためて書き出してみると、人と暮らすってほんと偉大。
なかでもわたしの場合、一番蔑ろになるのが食事で、わたしは「自分のためのごはん」に、まるで興味がない。
自炊は言うまでもなく、外食もおろか、もはやコンビニで食べ物を選ぶのも面倒で、ツナマヨおにぎりばかりを食べる。
音楽をかけてお酒を飲みながら料理するのが楽しかった頃のわたしは嘘だったのか、と毎回思う。
▲もしも、いっしょに暮らす犬が人間と同じ食事ができたなら、少しは違ったかしら、どうかしら。
さて、そんなわたしだけれど、生活における楽しみがひとつあって、それは「冷凍ごはん」。冷凍庫には、常に冷凍ごはんがストックされている。
作るのは決まって週末。「炊きたてごはんをせっせと小分けして、“しかく”の形にラップする」その時間は、わたしにとってのリラックスタイムだ。
炊飯器を開けた時の立ち込めるごはんの香りは、気持ちをほくほくさせる。
小分けの配分は、だいたい1合2膳の計算。感覚でぴたっと等分できたときは完璧!な気分。「今日はきっといい日になるぞ!」って思う。
この時間のために、消費していると言ってもいいくらい。
「早く食べないと腐っちゃう」ことが基本的になく、今日食べてもいいし食べなくてもいい。その余裕のスタンスも素晴らしく、惚れ惚れしてしまう。
冷凍ごはんの残り数で、どれくらい自炊したかを、ざっくり把握できるのもよい。きっちりじゃなくてざっくり。ここ重要。
冷凍ごはん。
その存在はわたしにとって、生活のバロメーターであり、わたしなりの丁寧な暮らしなのだ。
まぁ、今週はまだ1つも食べてないのだけどね。