満開の桜の木の下で感じたこと
「今年の桜はなんだか、見てもあんまりウキウキしないんだよなぁ。」
出張の帰り道、桜並木を一緒に歩きながら同僚が言った。
まさにその時、私も全く同じことを考えていたので驚いた。
曇り空と肌寒い気温が続いているせいかな、と思っていたけれど、
どうやらそればかりでもないらしい。
聞けば、その人は毎年桜の季節には、
少し離れたところに住むご家族と集まってお花見をするのだとか。
お子さん夫婦やお孫さんたちと集まる機会が減って、寂しそうだった。
昨年の今頃も、緊急事態宣言が出て大人数で集まってのお花見はできなかった。
桜を見ることと、
その感動を分かち合うことはセットだったのだなぁ、と改めて気がついた。
***
昨年末くらいから、あるアーティストの沼にハマって、よくその人たちの曲を聴いている。
最初は1人でひっそりとyoutubeやSNSを見て楽しんでいたのだが、
ある日職場に同じアーティストを好きな人がいると知り、
それからは毎日その人とその話題について話すようになった。
すると、今まではほぼ淡々と仕事をして帰るだけの日々だったのが、
確実に会話が増え、笑顔が増え、
脳の中の眠っていた部分が目を覚ましたように活性化した。
免疫力もきっと、上がっていると思う。
その人とはLINEのやりとりもするけれど、
その場で話す方が何十倍も楽しいし、
エネルギーが巡るということを知った。
自分が発した言葉に、瞬時に反応が返ってくる。
それも言葉だけではなくて、表情、声の抑揚、身体の動きなど、たくさんの情報を伴って。
その1つ1つを見るのが楽しいし、
それにまた自分の気持ちが反応して、
心が動かされる。
リアルタイムで、顔を合わせて気持ちを共有できることがこんなに嬉しいことだとは、
今のこの状況を経験するまでは分からなかった。
***
次にみんなで桜の木の下に集まって、
お酒を飲んだり笑いあったりできる日が来たときには、
この日々を知る前より、もっと喜びを噛み締められるだろう。
そのときを待ちながら、今は自分の気持ちを丁寧に見つめたり、
近くにいるけどあまり話したことがなかった人と話したり、
もちろんオンラインの恩恵も受けながら、
今できることを今のやり方で存分に楽しもう、と思った。
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