フィールズ・グッド・マン
全然noteの更新をできていなかった。
今年は映画を毎月2本は映画館に観に行こうと思っていたが、気づいたら旧作再上映含め22作も観に行っていた。シン・エヴァンゲリオンは3回観に行ったので、実際に映画館に足を運んだのはもっと多い。
緊急事態宣言で大手シネコンで映画を観ることは出来ないが、ミニシアターは営業しているのでそこで観るようにしている。
たくさん映画を観ていたら、それぞれに対する考えや感想なども出てくるし、言語化もしたいのでnoteに鑑賞記録もかねて感想を書いていこうと思っている。とはいえ、3月以前に観たものは記憶が薄らいでいるので4月に観て強く印象に残っている映画から書いていこうと思う。
最初に感想を書きたいのは「フィールズ・グッド・マン」だ。簡単に言うと、あるコミックキャラクターのペペというカエルが極悪なネットミームとしてヘイトシンボルに認定されてしまった。その過程とそのイメージを払しょくするための活動についてのドキュメンタリー映画だ。
最高だった。私は初めてちゃんとドキュメンタリー映画を観たが、本当に面白く、作りも斬新で飽きさせない。それでいてしっかりと問題提起をしている。どういう出来事が起きたのかという事実を述べ、その背景を当事者たちにインタビューしながら探っていく。非常にわかりやすい。インターネットミームがテーマだ。米国版2chである4chの利用者にもペペについて、そしてネットの住民についてインタビューし、彼らがどうして過激な思想にハマっていくのかを分析していた。
最初は面白がって使われていたペペのイラストがどうしてヘイトシンボルとなったか、その過程は日本でもあり得ると私は思う。実際にインターネットミームとして電話猫などが日本にもあり、大きな人気を誇っている。二次創作もたくさんあるし、私も大好きだ。それと同時に、Twitterなどでは過激な言葉が散見される。何かを執拗に叩くなんてこともしばしば起こる。それらが結びつくことだって十分あり得る。その結果、たくさんの傷害事件が起きることだって十分考えられることだ。
厄介だと思ったことがある。映画の中で、インターネットの世界では叩かれた方が勝ちみたいな風潮があると述べられていた。炎上商法とはまた違うが、同じインターネットの世界のなかでも悪目立ちすることで特別感を味わえるのだろう。それが加速して現実世界での悲劇が引き起こされてしまう。それを防ぐためにはやはり現実世界での充足が大切なのではないかと思う。現実世界で承認欲求が充たされ、他者から尊敬され他者を尊敬する人間関係が構築されていないからこそ、インターネットの世界で自分を充たそうとしてしまう。かくいう私も長年Twitterをやっているので自分自身の行動を顧みようと思った。特に今まで掲示板の中だけで楽しんでいたのがインスタなどを主戦場としているキラキラな女の子たちがペペを利用しだしたことに猛烈に反発するっていう段階はとても怖かったし、自分自身にもそういう気持ちがないといったら嘘になると感じた。
この映画は、アメリカの話であるけれど、社会の分断が引き起こした事態について述べられており、他人事だとは思わず、インターネットを利用している人全員観てほしい、そしてインターネットについて今一度考えてほしいと思った。確かに、インターネットは居場所になるし、私も何度救われたかわからない。高校時代、落ちこぼれた私を救ってくれたのは、関西進学をするきっかけを与えてくれたのはTwitterだった。だから私はTwitterをはじめインターネットを否定することは出来ない。でも、だからこそ私はインターネットを犯罪の温床なんかにはしたくない。『フィールズ・グッド・マン』は、インターネットについて今一度考えるきっかけになる映画で、ドキュメンタリー映画をもっと観てみたいと思わせてくれる、素敵な映画でした。