言葉のPDCAサイクル
人に何かを伝える時、言葉の難しさを痛感することは往々にして起こることだ。
『どのようにして伝えたらいいのか。』
『この場合、どんな言葉遣いが適切なのか。』
当然の話だが、私はコミュニケーションスキルというのは、言葉遣いの一言に集約されるものではないと考える。それはもっと、奥深くて隙だらけで探求の尽きない、万里の長城のごとく果てしない道。
スポーツ界ではよく、些細な成長でもコツコツと積み上げることに意味がある。そして、その為にはPDCAサイクルを回さなければならないと教えられる。
私はここで、一つの疑問を抱く。
探求の尽きないコミュニケーションという競技にはPDCAサイクルは不要なのか。
1日の中にも、大小さまざまなコミュニケーションの機会がある。しかし、その都度自分自身のコミュニケーションを振り返り、反省点を見つけ、次のコミュニケーションの場で改善するなどと言った話はあまり耳にしたことがないのではないだろうか。もしかすれば、潜在的には人間誰しもがこの作業をしているのかもしれないが、潜在と意識の差は歴然である。
私はこのコミュニケーションのPDCAサイクルに着目したことで、コミュニケーションとは私たちが熱中しているスポーツの世界に酷似したものであることに気がついた。
競技歴が長ければ長いほど、1日1日成長を重ねることは難しくなる。しかし、1ヶ月、半年、1年と毎日の鍛錬を重ねることで塵は積もり、やがて大きな山となる。
競技歴21年目となった今、私のコミュニケーションスキルを以て、観衆にはどんな感動を与えられるのか。
私は『自分自身の言葉で人を救える人間』になりたい。
こんな偉そうなことを言っているが、枕元には人生の半分以上を共に過ごしてきたクマの人形がいる。