、って事はタダで家政婦さん雇ってる様なものね
チョウさんは訪問ヘルパーとして働く妻のミミ子さんに頼まれてボランティアとしてお年寄りの生活支援に携わる様になっていた。
「着信、全部爺さん婆さんばっかだよ」
と嬉しそうに困っていた。
「社協からも〇〇さん、チョウさんがいいって言うのでスケジュールに入れておきましたって、俺も頭数に入ってるんだぜ」
とニコニコ顔だった。リタイア後頼りにされる毎日は忙しく張り合いある毎日だった。でも、中には認知機能の低下によって要領を得ない用事を頼まれたり、ご家族が亡くなった時の諸々の手続きを頼まれるなどボランティアとしての限界を感じることもあったそうだ。
活動のほとんどは病院の付き添い、買い物支援、友達の入居先のホームへの送り迎えなどだった。いずれ自分も支援を受ける側になるかも知れないからと元気な今は支援できる事にやりがいを感じていた。
ある日、ミミ子さんのボヤキに社会福祉の不条理を感じたそうだ。
無職、マイカー所持、掃除、洗濯、買い物、食事の支度など生活支援を受ける男性は、年に2回ほど友人と海外旅行に行っている。旅費は親から出ているらしい。詳しくはわからないが、社会福祉の旧制度下で支援を受けていた人が新制度になってもそのまま生活支援を受けていると言う事らしい。
「税金だぜ。本当に必要な人に十分な支援ができないと言うのは考えものだよな」
私は思わず
「、って事はタダで家政婦さん雇ってる様なものね」