おかえりなさい
覚えておきたいことはいくらでもあるけれど、ワタシの小さな"ノウミソ"では抱えきれない。
今、必要な言葉をせいぜい2つ。
ああ、残念だ。
頭の中では知っている、解ってる!
だけど、体は後ろに進もうとするし、
心はフワフワさまよってる。
ああ、残念だ。
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ああ、よかった。
ワタシの"ノウミソ"が、優秀な脳みそだったなら、つまらない世の中からすぐにサヨナラしただろう。
ワタシの"ノウミソ"が小さいおかげで、
あの人はわたしにイラつく。
その人はわたしに気を遣う。
この人はわたしにありがとうと言う。
いろんな人が色んな言葉で、いろんな"キモチ"を浴びせてくる。
ああ、よかった。
わたしは此処に居ることを実感する。
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わたしは大きな脳みそを使って、すべてを見透すこともできるけれど、
この大きな脳みそでは、あの人たちの"キモチ"は理解できなかった。
ああ、よかった。
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やっと解った。
そんなにも真剣に、怒ったり、悲しんだり、嘆いたり、自分を傷つけたり、泣いたり、喜んだり、楽しんだり、叫んだりしている理由が。
知らなかった。
生きるとは、わたしを忘れることだと。
わたしを忘れて悲しんで、
わたしを忘れて嘆いて、
わたしを思い出して楽しんで、
わたしを思い出して喜んでいたのだと。
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わたしを忘れて怒ってくれて、ありがとう。
わたしを思い出して喜んでくれて、ありがとう。
わたしと共に生きてくれて、
ほんとうにありがとう。
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わたしのもとに ようこそ おかえりなさい。
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