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「ググれカス」は死語だが「ググれカス」と言いたくなった日

「もう何が悪いのかサッパリ分かりません。」

部署の2年目社員が、パワーポイントに適切なサイズの画像挿入がうまくできないということで、ふてくされた態度で先輩社員に訴えかけていた。

この2年目社員は俗に言う「おしえてくん」である。昨年は大半が在宅ワークであったので、まともな教育ができていないことを考えると実態は新入社員である。彼は少し調べればわかることでも「おしえて」を連発する。何回か既に教えたことでも再度「おしえて」と訴えかけるのだ。

上司、先輩が仕事を教えるのは当たり前ではあるが、さすがに程度がある。共同作業の効率を落とす典型的なパターンとして忌み嫌われてしまっている。
周囲に依存しすぎている彼をみると、いつも誰かに頼らなければ何もできないのかと悲しくなってくる。

我社の「おしえてくん」の属性

誰それ構わず「おしえて」「それってなに?」と聞きまくるおしえてくんは、以前まではネット上でggrksと罵倒されてきた。ggrksはググれカスの頭文字を取った略語である。

「Googleで検索すれば(俗に言う「ググる」)、答えは出てくるんだから、なんでも人に聞いていないで自分で調べなさいよ」という意味だ。
「以前まで」と書いたのは、現在はググっても情報が氾濫しており正確な情報が得られず、Googleの圧倒的信頼感が揺らいでいるので「調べれば分かるだろ!」と揶揄する言葉としては陳腐化した印象である。

たしかにそのとおりである。
そもそもネットで何かを調べるときにウェブ全般ではなくTwitterのタイムラインから調べる人が増えている 。
そして多様化するコミュニティツールからなんでもかんでも自力で探すよりも、信頼できる人を1人探した方が正確で最新情報が入る。コミュニティで友達の友達の専門家につながったり、分野にマニアっくな知識人がフォロワーにいて助けてもらったり、そのようなツールを活用した方が高精度で本物の知識が入手できる可能性が十分ある。
つまるところ人に聞く行為自体を一律に非難してしまうことは間違いである。

しかし、我が部署の2年目「おしえてくん」はそのレベルではない。あまりにも低次元の「おしえて」口撃によって周囲を翻弄するのだ。 彼はそもそも調べる気もないし、知りえたことをノウハウとして蓄積していく気もない。
取り急ぎその場を取り繕うことができたらそれでいいのである。そんな姿勢だから前に教わったことも忘れて何度も同じ質問をする。この次元の彼には死語であっても「ちっとは、ggrks!」と言いたくなる

冒頭の言葉に戻ろう「もう何が悪いのかサッパリ分かりません。」

この「サッパリ」という単語が「やる気の無さ」を顕著に表現している。通常の人は上司、先輩に対して「原因を解決するには、何をすべきでしょうか?」 と聞く。
しかし彼はそうやって聞いてしまうと自己の積極性が現れて学習しなければならなくなるので、「サッパリ」という「僕は今、分からなさすぎてイラっとしてます」を暗示させる単語と、ふてくされた態度を表明して、「ニッチもサッチモいかないことを察して助けてくれ、分かっているのなら代わりにやってくれ」と訴えかけているのだ。

会話を聞いていると「なんだかうまく動きません」とか「エラーが出ます」 と具体的なことは何一つ言わない。また、自分の試してみた事も具体的に言わない。「いろいろやってみたけど、できません」の一言である。

初心者であることを高らかに宣言するのもいやらしい。教える側に専門用語を使わせないようにして初心者向けの丁寧で分かりやすい説明を強要しているのだ。
教える側からすれば、同じ内容を説明するのに何倍もの労力を強いられる。自分は努力せず、相手には多大な努力をさせるのだ。先輩社員相手でもとにかく傲慢で不遜な態度である。
教えてもらってる最中も「そんなことはもう試しております。」とか、「さすがにそれは知っております。」など、 常に回答者の神経を逆なでするのだ。

全体像が見えない質問の短文ラリー

2年目「パワーポイントに挿入した表にもう一行追加するのはどうやってするのでした?」

先輩「それはここの行を選択して、右クリックして上に追加か下に追加を選択すれば・・・・・」

しばらく作業する

2年目「表に数字を入力したら他の行は右寄りで入力されますが、この新規に追加した行だけ数字が真ん中に表示されるのですが、、」

先輩「それはこの行を選択した後に、右揃えにするボタンを押せば・・・・」

またしばらく作業する

2年目「あれ、なかなか合計がだせないな。ブツブツ・・・イライラ」

2年目「(小声だけど先輩社員には聞こえるように)なにこれ、前と違うやん。バグかな・・・」

先輩は聞こえているが、嫌気がさして明らかに無視する。するとついに意を決して先輩に聞く。
 
2年目「お忙しいところすみません。先輩は、月次の資料の作成終わりましたか?パワーポイントで表を作るとうまくいく時といかない時がありますね。表に入れた数字を合算したいのに、わざわざ電卓叩かないといけませんね」

先輩「ん?何がやりたいの?表に入れた数字を計算させたいの?」

2年目「各月の数字をここに入力して、ここには累積値を出したいのですがアナログ的に計算すると間違う可能性があるので、前みたいにPCに自動的に計算させたいと思っておりましたが無理のようです。」

先輩「(少し怒り気味に)前のことを俺は知らんけど、その時はExcelで表にして計算させて、その表をパワーポイントに貼り付けたのではないの?パワーポイント上ではそもそも計算はできないよ」

2年目「え?あれって、Excelだったかな。Excelをパワーポイントに貼り付けるのはどうするのでしょう。知ってますか?」

先輩「いや、それはやな・・・・」

何度か先輩社員とのやりとりが続いて「だいたいわかりました」と言って何事もなかったように仕事を再開した。

突っ込みどころは沢山ある。
察してくれよという質問の仕方や、先輩への態度そして「だいたいわかりました」という言い方。でもいちいちこんなん言ってもキリがない。

あえて全く違う角度から指摘すると、最初に「月次発表用のプレゼン資料に使用する個人実績の単月と累積の表を作成しているのですが、・・・」と目的を言えば、先輩社員は最初からExcelで表を作成するようアドバイスしたし、ダラダラと短文質問ラリーを続ける必要もなかったのである。

プライベートでLINEを使った短文ラリーならスマートな意思疎通として分かるが、共同作業を行っている職場ではバラバラと思いつきで質問するのは時間の無駄である。一発で回答が終わるように目的や全体像がわかる質問の仕方を意識すべきだ。

なんと時代は「クリック世代」!?

情報誌を読んで知ったが 一世代前は「ネット検索世代」で最近の子は「クリック世代」と呼ばれるようだ。

たしかにそうだ。電車内で見えてしまった。出会いもクリックである。
若い子がスマホで表示された人の顔を瞬時にササッとアリやナシを判断し、指先で左右にスワイプしてるのだ。アプリの出会いだが、これたぶん僕の世代はついてきてない。

僕らの世代は合コン行って「今日はハズれやったなぁ。」「幹事が一番かわいいパターンにやられたね」といったリアルで会った上でのアリナシ反省会があった。
初対面の女の子を口説くときも、時に雄弁に語り、時に下心を隠し、時に真剣な顔で迫る演技力が求められた。

真剣勝負は技量にかかわらずいいものだ。決する瞬間互いの道程が花火のように咲いて散る(by幽遊白書)

失敗も成功もリアルで体験して、こんな日々だからとても楽しかった。
それが今や指先一つで会う前からアリかナシかで雌雄を決するのである。なんとも悲しいかな。時代は変わってしまった…

調べごとだってそうだ。
自分で検索しなくても主要な情報がまとめられているニュースアプリや、テーマに沿ったまとめサイト、更新や連絡があればアナウンスされるプッシュ通知などを駆使してクリックするだけで素早く情報を入手する。ITの発達により日常生活で自力で検索しなければ何もできないということはなくなった。

長くなったが、そろそろまとめよう。
コミュニティによってスピーディーに最新情報が入手でき、それが行動に活かせるのは良いことだと思う。
ただ、こんなこと言ったらおっさんかな。古いかな。僕はこんな時代だからこそ、もっと個のポテンシャルを上げなければならないと思っている。

人に聞いて仕事を進める手法しかないと、周囲に対する依存心が強くなり教えてもらわないと何も進められない状態になってしまう。

時間の積み重ねは大きい。
他人に「お願いばかりして」20年も過ごすと、見事に自分では何もできない中高年社員が出来上がる。運が悪いと、最後は退職を「お願いされる」立場になってしまうよ。

君らの未来にはAIという優秀な同僚でもありライバルがいるのだ。

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