補聴器の効果測定は重要!です
「補聴器を買うときの大切なこと」とは、私のこれまでの経験からまとめるとズバリ3点! 3点をしっかり押さえておくと、大きな失敗はしないはずです。
《その1》 聴力レベルをしっかり測定できる
《その2》 補聴器をつけた時の効果をちゃんと示すことができる
《その3》 補聴器に関する疑問に対して分かりやすく説明できる
補聴器はどのモデルを買うかも大切ですが、どこで買うのかというのも大事です。なかなか見極めるのも難しいですが、《その2》に関しては、お店で対応してくれないこともあるので判断しやすいかと。《その3》に関しては、もし分かりにくいなぁ~と思ったら、別のお店にも聞いてみるものいいと思います。
病気の治療の場合でも、『セカンドオピニオン』を求めるってことがだんだん普通になってきています。補聴器の場合でも同じように分かりにくかったり納得できないようなときには『セカンドオピニオン』を求めましょう。
補聴器のセカンドオピニオンは、補聴器を買う前にしっかり確認した方がいいのですが、すでに買ってしまった場合でも、同じメーカを取り扱っている補聴器販売店であれば多くのお店で対応してくれますので、遠慮なくお問い合わせいただけるとよいです。
さて、今回の本題であります「補聴器を買うときの大切なこと」のその2である補聴器の効果測定とは、について記します。
なぜ、補聴器の効果測定が必要なのか?
あたり前ですが、音は目にみえません。なので、聞こえにくくなってもなかなか気づかないといったことが発生します。それと同じようにはじめて補聴器をつけた時にどれだけ聞こえるようになったのかって実感しにくいものです。
でも、何らかの評価をしなければ、いい / わるいの判断もできないですよね!?そこで必要になるのが補聴器の効果測定ってことです。
効果測定はどういったもの?
自分が感じたことそのもので評価することを主観的評価といいます。それとは別に数値化して評価することを客観的評価といいます。
主観的評価は簡単なので、ほとんどの補聴器販売の現場で行われます。
「補聴器を使ってどう感じましたか?」
「大きいですか?」
「うるさいですか?」 などなど
要は、補聴器を使ってみた感想的なものです。
もう一方、客観的評価とは、補聴器を外した時に聞こえた音の大きさと補聴器をつけた時に聞こえた音の大きさを比較することになります。
補聴器をつけてどこまで小さな音が聞こえるのかといったことを測ります。(例えば、下図のような感じの結果となります)
上の例では、補聴器をつけていない時には60~75dB(デシベル)という大きさの音からでなければ聞こえないのが、補聴器をつけることで35~40dBの大きさの音でも聞こえるということとなります。
数値化することで、目に見えない音の効果を見える化することができます。
ただし、客観的評価を行うためには、それ専用の設備が必要です。その設備がないところでは残念ながら客観的評価ができないということになります。
どんな設備が必要なのか?
適切な効果測定をするためには、「再現性の高い検査音」と「検査音の聞き取りを邪魔しない環境」の確保が重要です。
再現性の高い検査音を確保するためには、専用の検査機器があるといいでしょう。(写真はシバントス社のUnity 3)
この検査機器には、様々な検査音(純音、ノイズ、ウォーブルトーン)や『あ』とか『き』とか『し』などの単音節と呼ばれる検査音が習得されていて、提示するときの音の大きさも変えることができます。
検査音の聞き取りを邪魔しない環境とは、できる限り騒音や反響音を少なくし検査音が耳にしっかり届くことができる環境ということです。
この環境の条件として、日本聴覚医学会からは「補聴器適合検査の指針(2010)」、NPO法人日本補聴器技能者協会からは「販売店における補聴器効果の確認法(第3版)」が出されております。ここでは測定の模式図が記されております。
《測定する条件》
① 騒音が測定結果に影響しない程度であること(50dB(A)以下であること)
② 測定音の反響が測定に影響しない程度であること
③ お客様の判断に影響するような心理的圧迫感がないこと
客観的評価は、専用の設備も必要ですし時間も手間もかかります。補聴器を販売する側だけではなく補聴器を使用する難聴者の方の負担もあり、省いてしまっている場面が日本では多いようです。
日本の補聴器使用者における満足度
みなさんご存じでしょうか?
先進国と言われる国の中で日本は、補聴器使用者による補聴器への満足度がダントツに低いということを。
8年前より定期的に市場調査をしていますが、ヨーロッパの各国と比較すると大きな差があります。日本で販売されている補聴器のほとんどが海外で販売されているものと同じものです。
おなじ補聴器を使用しているのにこの差が出るということの要因のひとつとして、補聴器の効果測定、とくに客観的評価が徹底されていないことがあるのではないかと考えています。
まとめ
補聴器を選ぶ時の誤解のひとつに「補聴器は自分で選んで購入する」があります。最終的のお金を払う人が決めるという点においては間違いではありませんが、その方がしっかりと補聴器という機械のことや補聴器による効果について知識がないのなら「自分で選ぶ」というのは間違いです。
しっかりと効果測定をして「主観的評価」と「客観的評価」による総合的な判断で補聴器を選ぶことをお勧めします。