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hamahouse
映画を見て泣くこと。その効用。
映画を見ると、少し落ち着いて涙が出てくることがある。『ジョーブラックをよろしく』と、『インターステラー』が良い。
ジョーブラックはアンソニー・ホプキンス演じるお父さんに、長女が自分の思いを告白するところ。
お父さんが妹の方がフェイバリットだというのは知っていたと彼女は言う。でも私は私の愛情の示し方をつらぬくと、笑いながらちょっと泣く。
アンソニー・ホプキンスはなんとも言えない表情で彼女を抱きしめて、彼女が去った後は自嘲するような笑みを浮かべる。
インターステラーは最初のシーン。
空を飛ぶドローンをお父さんが見つけて、息子に車を走らせる。トウモロコシ畑の中を、硬くて黄色い葉をバキバキ薙ぎ倒しながら、崖へりにむかって真っ直ぐ走っていく。音楽の盛り上がりが壮大で、ひたむきだ。
第二宇宙速度のことを考える。空気を突き破って慣性の法則の方向に乗ることができるような、ひたむきで真っ直ぐな速さでどこかに飛び立つ。
こんな美しいものがあるんだ、と思って涙が出てくる。
泣いて気が晴れることはあまりない。悲しい気持ちもなくならない。
けれど自分が泣いている時、それ以上のことができなくて落ち着く。何かに胸を打たれて泣いている自分は、その時間だけは他のものに悲しむことができない。
他のことは考えられない。
生きることについて、自分について、考えなくて済むから、映画を見て泣くことは良い。