脳炎という大病でリバウンド
大病というのはいろいろな物事が
リバウンドする。
病気のあとはまるでスカスカになったスポンジのように食べ物も吸収しやすい気がする。
何度となく入院してきたが
入院中もきちんとカロリーを取る
脳炎の昏睡状態の時ですら
栄養点滴で2000カロリーを摂取していた。
退院するときには
体が回復しようと
食べたものをぐんぐんと吸収する
それに加えて
周りの人間が、回復したわたしを見て感激しあれよこれよとジャンキーものを食べさせる
当時のわたしは脳炎あがりで
頭が常にぼーっとしており
まるで生まれ変わったように
思考が幼児のようになっていた。
両親の言いつけを守り
両親が食べろといったものを素直に平らげ
わたしは退院してから半年ほどの期間
夫とは暮らさずに実家で療養していたが
気がついた時には15キロ以上も体重増加していた。
脳炎の時に限らず
病気あがりは特にリバウンドに気をつけなければならない
ちなみに
通院を1年ほど続けた後
「もう大丈夫!」と
医者から太鼓判を押され
最後に言われた言葉が
「後遺症として記憶障害と過食症が残ります。100キロになってもおかしくない状況です。」
だった
そのあと三人の子供を授かるたびに
ダイエットし、産んだあとリバウンドしを繰り返し
現在は病気以前の体重まであと4キロ、というところまで来ている。
100キロにはならなかったし
加齢のことを考えれば
悪くないと思う
大病でリバウンドすることのもう一つは
感受性。
大病すると
はじめは特定個室に入るので
その間は面会謝絶だし
わたし自身はその時の記憶が全く無い。
しかし大部屋にうつったあと
徐々に回復するわたしのもとを
母と同じ年頃の女性がすすり泣きながら
わたしの手を握りに来た事がある。
同時期に同じような状況になった娘さんがおり
個室が近かった為
母親同士
励ましあっていたのだという。
わたしだけが
みるみる回復したわけだが
その女性は元気になってくるわたしを見て
「うちの娘も回復するのではないかと希望になります」
と涙をこらえながら言い
手を握ったのでした。
また、大部屋とはいえ
重症患者ばかりがいる部屋のため
奥のベッドの丸坊主の女性は
いつも大声で暴れていた。
その女性の枕元には可愛らしい赤ちゃんの写真が飾られており
坊主頭の女性の母親と見える付き添いが
「〇〇ちゃん覚えてないの?!ほら見て!がんばろ?」
と泣き声混じりに大声で制していた。
あとで聞いた話だが
赤ちゃんを産んだあと、脳の病気になり
手術は成功したが
もう以前の状態には戻らないのだと言う。
わたしだけが苦しいのではない
そこには
いろいろな波乱万丈な人間模様があり
25歳のわたしには
刺激が強かった
わたしはもともと感受性が強い方ではあったが
ますます強くなった気がしている。