ほんの少しの丁寧さを
やっと土曜日になった。今週も長かった。いつもより寝過ごしてしまったことに気付き、慌てて時計を見上げてから平日ではないことを確認して、それからのそのそとベッドから這い出る。
冷たい水で顔を洗う。洗濯機を回して、ついでに洗面台を少し磨いたら、置きっぱなしにしていた空の化粧水のボトルを捨てる。
キッチンに移動する。シンクに溜まった洗い物を片付ける。カップは漂白する。漂白剤は割とこまめに使う方だ。キッチンクリーナーを使ってガスコンロを拭き上げる。
綺麗になったコンロでお湯を沸かす。ミルで豆をがりがりと挽いてコーヒーを淹れる。昨日買ったドーナツが残っていたので、今朝はそれを食べることにした。
ドーナツで軽い朝食を済ませたら、ロボット掃除機のモップを水洗いして軽く絞り、部屋中を走らせる。モップは毎日手洗いする。モップのところにハッカ油を数滴垂らすと、部屋中が爽やかな匂いになる。それにしても毎日よく働いてくれる。ロボット掃除機はタイマーをセットすれば私の留守中に走らせることもできるのだけれど、頑張りを見届けたいので、いつも在宅している時に稼働することにしている。30分弱で床がピカピカになる。
洗い終えた洗濯物をお風呂場に干す。ほぼ毎日洗濯機を回すので、そんなに洗濯物は溜まらない。5分くらいで干し終える。
部屋が片付いてきたら、アロマディフューザーのスイッチを入れる。アロマオイルはTwitterのフォロワーさんのお店で定期購入させてもらっている。サブスクで毎月届けてもらう。6月のブレンドは、雨の日のしっとりした香りだ。
部屋にBGMを流す。ジャズを小さい音量でかける。邪魔にならないくらいの音量が好み。
出掛ける準備を始める。メイクをして着替える。メイクスポンジもついでに洗っておいた。これは週に一回は洗いたいところ。
雨の中、車を走らせる。日用品の買い物を済ませて、珈琲豆を買いに行く。珈琲豆を売っているお店の庭先の花が雨に濡れて嬉しそうにしているのをしばし眺める。フレンチブレンドを豆のままで200g買うのがいつもの買い方。サービスのコーヒーをもらって店を出る。
帰りがけに近所の花屋さんに寄る。月に1、2回は行くかな。「カシワバアジサイ」という変わった品種のアジサイを見つけて購入する。レジ横では看板犬のシーズーがぐぅぐぅと寝ている。店頭にいない日も多いので、見かけたらラッキー。
帰宅してアジサイを生ける。何個かある花瓶の中から背の高さにあったものを選ぶ。雨の日の薄暗い部屋は結構好きなので、リビングの蛍光灯は夜までつけない。代わりに卓上のキャンドルを灯す。
乾いた洗濯物を畳んで収納する。すぐに片付けてしまった方がめんどくさくならなくて済む。
湯船にお湯をためて入浴する。入念にヘアパックをする。年齢は髪と肌に出るので、少し気を遣う。ヘアオイルをつけて、ドライヤーで髪を乾かす。
それからササッと夕飯を作って食べる。今夜はオムライスにした。最近はあまり手の込んだものは作っていない。効率重視。食器を一気に洗う。
入浴後にまた洗濯機を回して干して、2回目のロボット掃除機をかける。ドライヤー後に洗面台に落ちた髪の毛も吸い取ってもらう。
そうこうしているうちに眠たくなってきて、軽く手足にマッサージオイルを塗って早めに就寝する。
これが私の休日の過ごし方。
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「ほんの少しの丁寧さをプラスする」のが長年の私のモットー。
食器をこまめに漂白するとか、メイク道具をきれいにするとか。普段の家事は面倒くさいものだけど、一握りの丁寧さを加えることで気持ちよさが生まれる。こういう達成感があると、家事が少し楽しくなってくる。
日々の家事なんて終わりの見えない長距離マラソンのようなものだ。片付けたと思ったのに、またすぐ汚れる。洗い物が出る。禅問答のようにも思えてくる。だけど、倦まず弛まず。すっと顔を上げて、またひとつずつ片付けていく。丁寧に、丁寧に。その先にある気持ちよさを追求する。
私は今のこの暮らしが結構好きだ。