冬の夜の甘酒。
毎年、ぐっと冷え込む冬の夜になると、いそいそと小鍋を取り出して甘酒を作りはじめてしまう。
最近は麹の甘酒が人気みたいだけれど、わたしは酒粕の甘酒の方がすき。健康や美容の効能はどうでもよくて、小さい頃からこれで育ったから、甘酒といえばやっぱり酒粕の甘酒だ。
甘酒を作るときに気をつけるのは、ぶくぶくと沸騰させないこと。アルコール分が飛び切ってしまわないように、お湯はくつくつと小さく泡立つくらい。多めの酒粕をちぎっては入れて、少しずつ溶かしていく。でも、全部きれいには溶かさない。酒粕の塊があちらこちらに残るようにする。そうすると、飲んだときのとろりとした食感がいいし、口の中で酒粕が溶けていくときに、お酒の香りがふわりと広がるのがたまらないから。火を止めて、味見をしながら甘すぎない程度にきび砂糖を加えたら出来あがり。
昔はよく母にせがんで作ってもらっていた甘酒も、今ではすっかり自分好みに作れるようになった。"自分好み" なんて言って、本当は "母好み" なんだろうけど。
そんなわけで、今年も甘酒の季節。東北は酒蔵がたくさんあるから、色んな酒粕を試したいな。
今宵は宮城の地酒、乾坤一の酒粕で。